米国大統領選挙はどうやらバイデン勝利が確実になったようですが、トランプは往生際が悪くまだ訴訟で対応しようとしているようです。
いずれにしても12月8日に選挙人が確定してしまえばすべてに決着がつくことになると思われます。
金融市場ではバイデン政権が誕生して、その後の相場がどうなるのかのほうに大きな注目が集まりつつあります。
バンカメがバイデン政権誕生でここからどうなるのかについてレポートを出していますが、どうやら政権は民主党のバイデンながら上院は共和党、下院は民主でも共和党も躍進というかなり微妙な政治状況になりそうで、民主党になればガンガン財政出動して大きな政府になるとか増税即スタートといった見方が必ずしもそうではなさそうな雰囲気が強まり始めています。
ZeroHedgeに掲載された図では一番左の赤く囲ったものが今回該当する構造になりそうですが、政権は民主党でも上院は共和党ということで、すべての政策がすんなり議会を通過しないのはあきらかです。市場が期待してきたブルーウエイブによる金のばらまきはさほどではないのではないかという見方が強まっています。
逆にここから米国経済がデフレに向かうという予想も登場しており、株価にも変化が訪れる可能性は高そうです。
バイデン政権誕生からご祝儀相場で株はさらに上昇するといった単純なシナリオがワークしない可能性もあり、むしろここからはFRBがどれだけ緩和措置を積み増すか次第の状況になりつつあるようです。
パウエル議長はトランプにだいぶいびられましたが、それでももともとの雇い主はトランプですから、民主党政権になってどのように扱われるかの様子を見ている可能性が高く、モラトリアムで有名なイエレンが国務長官になればそれなりに親和性もあるでしょう。
ある意味同僚から部下になっていた、ブレーナードが国務長官にアップグレードしてもそれなりの親和性は保てることになると思われます。
ただ、エリザベスウォーレンが国務長官に起用された場合はかなりの番狂わせで、大統領選挙の協力でバイデンはそれなりに左派に閣僚ポジションを含めて握っているものがあるはずですから、かならず左寄りの人物が重要ポストに名を連ねてくることはあり得そうで、この人事も非常に相場が注目するポイントになりつつあります。
FRBが緩和継続なら間違いなくドル円はドル安円高に
FRBがここから新型コロナの感染をにらんでさらに緩和措置を強めることになれば株価上昇の下支えにはなるのでしょうが、為替ではドル円がさらにドル安になる可能性もあり、2016年のトランプ政権誕生までの年末爆上げ相場と年明けさらに上昇が続く相場の再来にはならないことも想定しておく必要がありそうです。
一般的には大統領選挙で勝者確定後は株価も半年近くは上昇し、為替もそれについていき最低限12月一杯まではドル高傾向が続くことが多いわけですが、果たして今年はそういう動きが示現するのかどうかがもうひとつはっきりしない状況です。
株式市場ではここからそれほど米国株価も上がらない予想をする向きも増えてきており、安易に相場の上昇を断定してしまうのはなかなか難しそうで、為替のほうも年末だからドル円上昇と決めつけるのはかなりリスクがありそうな雰囲気になってきています。
考えてみますと今年は8月ごろから例年の相場のシーズナルサイクルがまったく当てはまらなくなっており、選挙年サイクルの動きも相当はっきりしなくなっています。
こうなるととにかく無理をせずに様子をみて方向感がではじめてから取引を行うという用心深さも重要になりそうです。米国の感謝祭まであと10日ほどですが、この時期になるとかなり市場参加者も限られることになりますので、迂闊にポジションをもって損することがないようにしたいところです。