週末バイデン候補が正式に勝利宣言をしたことで、米国の大統領選挙は新たなステージへとシフトすることとなりました。
トランプ陣営はまだ敗北を認めていませんし、ZeroHedgeなどのサイトやツイートではかなり不正と思われる開票状況があからさまになっており、ここからは本格的に米国内での分断が激しくなりそうな状況です。
問題はここから相場はどうなるかですが、一つだけはっきりしてきているのは2000年の大統領選挙の混乱時にはとにかく米株が大きく売られたわけですが、今回はどうやらそういったリスクオフは示現しそうもなさそうです。
各市場は勝手にいいとこどりをし、ランダムに上げを演じる相場になっています。
株価はバイデン勝利でご祝儀の上げ相場を当分続けそうですし、万一トランプの不正選挙主張が裁判所で認められ逆転勝利となればさらに上昇しそう状況です。
今月末の感謝祭前後までは確実に上昇を維持することが期待されるところですし、さらに年末クリスマス明けまでの継続相場の可能性も否定はできません。
ただそうなると為替は一体どうなってしまうのかが大きなポイントです。これまでとは違う相場の動きが示現するかどうかはまず冷静にチェックすることが必要です。
ドル円は103円割れからさらに下値を狙う展開に
■ドル円1時間足
先週ドル円はBOEが政策決定でなんら利下げも緩和措置も発表されなかったことを受けてポンドが大きく買い戻されました。
ユーロも対ドルでかなり上昇することとなったことから、それとは逆に104円を下抜ける売りとなってしまいました。
その後もほとんど戻りを試すことはなく雇用統計を経ても一旦103.700円レベルまでは戻すことになりましたが、その後はずるずると下げて103円一歩手前で週の取引を終えています。
ただ103円あたりには本邦勢の買いが潜んでいる可能性もありそうで、簡単には下抜けできない状況が続きました。
テクニカル的にはさらに下値を追う可能性を多くの市場参加者が感じていると思われますが、ここを抜けますと3月の新型コロナ起因のフラッシュクラッシュのような暴落でつけた101.175円辺りが意識されることになります。
しかしさすがにリスクオンという材料だけではそこまで大幅下落になるかどうかは怪しい状況で、本邦金融当局がPKO部隊を排して阻止するであろう103円割れが本当に実現するのかどうかにまず注目したいところとなってきています。
一般的に米大統領が決定した直後については、ドル円は上昇しやすくなりますし、年末の実需の需給から考えてここから102円を割るほど下落するとは想像しにくい状況です。
11 月に入ってからはすでに105円台から2円以上下落しているだけに、ひと相場終えている可能性もあり、底値で売りについていくと担ぎ上げられるリスクも残ることから週明けの相場の動きをよく確認してどうするかを決める必要がありそうです。
すっかり影が薄くなった英国のBREXIT交渉もいよいよ山場に
■ポンド円4時間足
米国大統領選の開票でのドタバタ劇の影に隠れてすっかり存在感がなくなったように見える英国のEUとのBREXIT交渉ですが、実はEUサイドは中盤、つまり15日位までに合意を見ないと11月23日からの欧州議会で採決が取れなくなるとしていることから今週はかなり重要な時間帯になることが予想されます。
ボリスジョンソン首相は本来トランプ再選が決まれば、合意なき離脱に突き進む覚悟をもっていたようですが、バイデン当選がほぼ確実な状況になったことでEUとの交渉のやり方を変えていくことになるのかどうかにも注目が集まります。
仮にこの15日辺りでの交渉合意が図られなかった場合には、12月10日からのEUサミットに間に合わないといよいよ万事休すということになりますから、どうしても今週末から来週にかけてこのBREXITネタは為替市場に影響を与えることは必至の状況です。
ボリスジョンソンが本当に合意なき離脱を決定した場合、ポンドは改めて大きく下落、さらにユーロもその巻き添えで下落することは間違いなく、逆に102円台を狙いそうなドル円は完全に反転上昇して104円台超えまで回復することもありえそうです。
したがってドル円の売買をされる方も英国の交渉状況には相当注意することが必要になりそうです。