いよいよ英国ボリスジョンソン首相が勝手に決めたEU離脱の交渉期限15日が迫ってきています。
残念ながらこの段階ではまだ合意が成立するという見通しは全くでておらず、この15日、16日に開催されるEUサミットにおいてなんらかの合意がなされる可能性はほぼなくなりつつあります。
しかしここから先どうなるのかが大変大きな問題になりそうで、15日に合意が得られなかった場合のこの先の見通しについてまとめておきたいと思います。
EUは10月末までさらに交渉を続ける用意あり
もともと今年12月31日が英国のEU離脱にともなう移行期間の終了ですから、物理的にはまだ時間が残されているように見えます。
しかし実は双方で文書化してそれを確認したうえで離脱ということになりますので、現実的には10月末までにある程度が合意できていないかぎり結局着の身着のままの合意なき離脱になることはほぼ間違いない状況になってきていることがわかります。
EUのバルニエ主席交渉官は公正な取引のためにここから数日、数週間働き続けると言っていますが、恐らく限度は今月いっぱいの可能性が高く、これを超えるとさすがのEUも匙を投げることになりそうです。
ポンドは15日にもかなり厳しい状況に追い込まれることになりそうですが、なんとか交渉継続となった場合に決定的な暴落局面に陥るのはどうやら10月31日辺りということになりそうで、十分な警戒が必要です。
漁業権をはじめとして問題部分が合意できていない悲劇的な状況
しかし考えてみますと、すでにBREXITの投票が行われてから離脱が国民の総意であると決定し交渉がはじまってからすでに4年以上の時間が経過しているわけです。
足元でさらに交渉をしているのが漁業権やLPF/対等な競争環境に関する問題、EUからの補助金制度の問題、EUに食料品を輸出できる権利の問題などクリティカルで簡単には解決がつかない部分ばかりで、なぜこの部分を放置してきたのか理解に苦しむ部分があります。
単刀直入に言えば9月末からの数週間の交渉で解決がつくようなものではなく、もはや最初から合意なき離脱に走っているのではないかとさえ思えるものがあります。
これは10月末まで交渉期間が延びたとしても、焼け石に水で決定的な交渉破綻がやってくるのはもはや時間の問題になりそうです。
交渉継続がヘッドラインに踊ればポンドは買い戻されるのでしょうが、その先は相当問題が待ち構えていることが予想されます。
ここからEUがよほどなにか異なる解決策を持ち出してくれば話は別ですが、月末にかけてポンドが大きく下落するのは覚悟しておくべき時間帯になっているようです。
アルゴリズムは調子のいいヘッドラインで買いあがる
足もとのポンド相場を見ていますとEU側が好意的な発言をするたびにアルゴリズムが過剰に反応してポンドが買い戻される状況になっていますが、最後の決定打はやはりEU側がもはや交渉は決裂であると言い出した瞬間にやってくるものと思われます。
したがってそれが10月31日なのか11月に入ってなのかはわかりませんが、それなりのポジションの人間が公式的にそうした内容を口にしたとたんに、ポンドがかなりのレベルまで下落することは避けられないのではないでしょうか。
ひとつベンチマークになるのは2016年のBREXIT投票の結果を受けて、またその後の下落レベルで、状況次第ではここからポンド円が最終的に120円を下抜けるといったまさかの事態に落いることも決して嘘ではなさそうなところにさしかかっています。
■ポンド円月足推移
ポンド円が現在のレベルから17円も下落するとなれば、ほかの通貨ペアに与える
ネガティブインパクトも相当なものになりそうです。
もはや「合意なき離脱やむなしと」いうことなのであれば、あとはそれがいつ公式的に決定するのか次第になることを想定しておく必要がありそうです。
相場は全体的になんとかなるのではないかといった楽観論に包まれていますが、実態をよく見るとどこにも楽観的な余地が残されていないことが改めて理解できます。
ポンドを取引の方はこうした状況であることを理解したうえでポジションを作っていただきたいと思います。