10月2日は東証のシステムダウンもようやく復旧し、上昇基調で混乱もすっかり回復したかに見えた東京タイムの相場でした。
トランプ大統領が側近の新型ウイルス感染を受けて、自己隔離を決定といった第一報ののち、検査を受けたトランプ大統領自身が夫妻で陽性になったことを自らツイッターでつぶやいたことから大騒ぎになり株価は下落。
とくにドル円は米国起因のリスクということで、リスクオフは大幅なドル安円高を示現することとなりました。
新型コロナは政界での感染が致命的ダメージに
これまで新型コロナは世界中で各国に様々な影響を与えてきました。
経済状況の悪化が相場に悪影響を与えるという動きだけでなく、政治の場での感染がいきなり相場に影響を与えることになったのは英国のボリスジョンソン首相が感染して集中治療室に運ばれて以来のことになります。
とくに米国という超大国で、トランプ大統領とその周辺の要人がいとも簡単に感染してしまったことはかなり大きなインパクトになっている状況で、ここからどれだけ金融相場に影響を与えることになるのかが注目されるところです。
■ドル円15分足推移
今回のトランプ新型コロナ感染発表後の相場の動きで明確になったのは、リスクオフでもさすがにドルが買われることはなく、ドル円は明確に円高方向に向かうということです。
3月の新型コロナウイルス起因の相場暴落以降、ドルキャッシュを求める動きが非常に強まり、リスクオフでもドル高という時間がかなり長く続きました。
米国内、とりわけ政権の危機ということになればドルが買われることはないわけで、11月の大統領選挙まではこうしたドル売り円高の動きが継続することが予想されます。
ドル円は9月の21日本邦連休の時に104円割れすれすれまで下落してから大きく上昇することとなりました。
106円にはとうとう一度も到達することができないまま、今回のトランプ感染騒動で104円台に振り落とされる挙動となり、その後回復しても105.500円にまで戻ることはできず今月は再度104円台を試しそうな雰囲気になってきました。
ここからはトランプの病状の報道次第か
11月3日に迫った米国大統領選がどのような型で進行していくかは非常に大きな問題ですが、それにもまして影響を受けそうなのがトランプ自身の病状です。
すでに医師団が発表する内容と側近の関係者から聞こえてくる内容が食い違い始めているのは非常に気になるところです。
当然トランプの選挙陣営は悪い話はしないのでしょうが、実態はそうでもないという別情報が出回った場合には相場は悪い情報に反応しやすくなるでしょう。
決定的な状況が示現してしまった場合、かなりの下落を余儀なくされそうで、いつ流れるかわからない病状情報にアルゴリズムが反応して突然相場が動き出すことはある程度覚悟せざるを得ない状況です。
2日のトランプ感染報道ではドル円は70銭近く下落しており、ネガティブな情報がでればいつでもその位の値幅の下落を視野に入れておく必要がありそうです。
もっとも心配なのは想定を超える病状の悪化で、まさかとは思いますが、いきなり万が一の状況が示現した場合の相場の下落幅は非常に危惧されるところです。
この手の話はいくら気にしても仕方ありませんが、今のところホワイトハウスと共和党関係者に多くの感染者が出ている状況で、民主党関係者にもそれが波及するような事態になればさらに状況は悪化しそうです。
大統領選挙の10月はオクトーバーサプライズと呼ばれる想定外の事態が起きるものですが、今回は相当強烈で相場に与えるネガティブインパクトは相当なものになってきています。