9月30日、午前10時から市場が注目した第一回の「米国大統領選挙テレビ討論会」が開催されました。
事前の予想どおり、内容はめちゃくちゃで両候補ともに相手を罵倒するばかりで、とくにトランプがバイデンの話を遮る回数が多く、およそディベートの体をなさないものとなりました。
バイデンのほうは認知症が疑われた状況が露見するようなことはなかったものの、快活な存在ではなく、やはり老人然とした雰囲気が漂い決して好印象とは言えないものがありました。
しかしトランプとの相対的な比較上では、バイデン有利と見た市場はディベートが終わらないうちからNYダウ先物を売り始め、一時は500ドル安まで示現するなどバイデンの大統領就任を株式相場が明確に嫌がっていることが図らずも明らかになった状況です。
その後同日のNYタイムでは大きく値を上げていますので、大統領選を相場に織り込むことはかなり難しいことを改めて感じさせられた次第です。
11月3日の投票後もすぐに決着はつかない
米国大統領選は11月3日に選挙、その後すぐに開票となります。
事前に郵便による投票が今回採用されたことから、簡単には結果が出ない可能性は非常に高くなっており、2000年のブッシュ対ゴアの開票のいざこざの時を超えるような混乱になる危険性が高まりつつあります。
またトランプは仮に開票で敗北となっても簡単には認めず最後まで裁判所に訴えることで戦う意向を示しており、2000年を上回るほど決定に時間がかかる可能性がではじめています。
通常選挙後は株価が上昇し、ドル円も上昇軌道に乗ることが多いわけですが、今年はそうしたシーズナルサイクルがまったく機能しない可能性もありそうです。
米国の政治状況がいきなり相場の邪魔をするであろうことは、どうやら間違いない状況になってきています。
英国のBREXIT情勢も混とん
一方期日が迫りつつある英国の「BREXIT」ですが、とりあえず9月末で決定的亀裂がでることは避けられているものの、市場が交渉の進展を期待しているのとは裏腹に状況は決して良好とはいえず、このまま合意なきBREXITに突き進むリスクは相当残されるところとなっています。
なぜ市場がここまでこのリスクを織り込まず楽観的なのかはよくわかりませんが、これまでも決定的な状況になっていないので、EUにとっても決して得策ではない物別れはあり得ないという見方が強いのかもしれません。
ただ、織り込みが弱いだけに本当に決定的な状況になった場合のインパクトも過ごそうで、応分の相場の下落を覚悟する必要がでてきているようです。
BREXITの投票でそれが決定してから4年半近くこの問題を抱えて断末魔でまだ交渉しているわけですから、いかにそのプロセスが稚拙で問題なのかは明らかですが、英国というのはこういう国民性のようですんなりとはいかない部分がむしろ英国らしさを理解すべき状況のようです。
こちらも10月15日には決定的なタイムリミットを迎えるだけに、相場には相当なインパクトがありそうで、ボラティリティがあるからトレードしやすいと感じる方も多いようですが、方向感がまったく見いだせず断定的にポジションをつくるのも相当はばかられるところにあります。
このように今月はいきなり政治的な税量でFX市場が売り動かされることになっており、予想していないことがでてもしっかりリスク管理できる方法を選択する必要がありそうです。
ボラティリティがあるというのはFXには利益機会でもあるのですが、間違えるととんでもないことになる点だけは日頃以上に注意すべき状況です。