明けましておめでとうございます。この年末年始は土日に絡む形となったことから意外に短かったですし、なにより新型コロナの影響で出かけるにも出かけられないというなんとも欲求不満の募る時間帯となりました。
そんな中ですべての金融市場が年始の休場を続けているなかひとり気を吐いて暴騰したのがビットコインで、対円で対ドルでも史上最高値を更新中です。
上昇スピードが速すぎますのでこの原稿が掲示されたころにはさらに上昇している可能性もありますが、日曜日の昼前ですでに350万に達しようとする勢いになってきています。
Data Tradingview
ここからどこまで上昇するのかは判りませんが、完全に史上最高値を突き抜けた感があり、久々に仮想通貨バブルが示現していることを見せつけられた状況です。
FXトレーダーにとっては仮想通貨の市場は目と鼻の先にあるとなりの芝生ともいえるようなところですから、ここでバブルが走るのは非常に気になるところです。
今年の金融市場全体の方向感を示すのがこの動きなのか、仮想通貨だけに限った動きなのかが非常に気になるところです。
投機筋の大量参入に個人投資家の遅ればせ乱入が上昇の原因か
もともとビットコインはマイニングにかかるコストがフェアバリューの判断要素になっており、法定通貨のような実需もありません。
また決済通貨としても一時は広がりをみせはじめましたが、実際には価格変動が激しく決済に利用するのは買い手にとっても売り手にとっても非常に難しいものがあります。
そんななかで足もとのように市場参加者のほとんどが投機筋で構成されるビットコイン市場では驚くほど短期間に値が上昇してしまい、すでに新しくマイニングで提供される報酬としてのビットコインだけでは需給に追いつかないという指摘もあがっています。
値が上がるから慌てて参入してさらに値があがるという動きはバブル相場の末期に実によく見られる状況ですが、エリオット波動の5波動目からいえば驚くほど上昇を継続することもありますから、迂闊に売りから入るわけにもいかないというのが現在の状況といえます。
果たしてこうしたバブル的相場推移はほかの市場にも広がるかが問題
この年初からの猛烈なビットコインの上げ相場状況ですが、果たしてこうしたバブル的展開がほかの資本市場にも波及してくことになるのかが大きな注目点となります。
ビットコインというとFX親戚筋とみられがちですが、米国などでは実は株式投資を行う個人投資家がビットコインの市場にも雪崩込んでいると言われており、ロビンフッダーの延長線上で投資を行っている向きが多いことがわかります。
また年末に既に米国では追加の600ドルの給付金の支給が始まっており、これがビットコインのレバレッジをかけた買いの原資になっている可能性も十分に考えられる状況です。
2017年末から2018年年初にかけてのビットコインの上昇では株価との相関性は顕著には見られませんでしたが、よくあるのは大きな損失がではじめると損失補填としてほかの金融商品が売られる事態が起きることで、2020年3月のあらゆる金融市場の暴落時には当然のようにビットコインも大きく売り込まれることとなっています。
したがってむしろ米株の下落こそがビットコインの下落に繋がる可能性を考えておく必要がありそうな状況です。
また今回のビットコインの上昇の根底にあるのはレガシーなファンド勢が投資先を失ったことから対円で200万円レベルから大量参入したのが上昇の大きなきっかけになっているとされています。
したがって個人投資家がすべてて買い向かうことだけの相場とは様相が異なる可能性は高く、ヘッジファンドお得意の売り相場が突然示現するリスクも十分に考えて置く必要があります。とくに300万円近くで追いかけ参入してきた個人投資家はひとたび下げが加速しますと総出で売りの出口に殺到することから思わぬ暴落を引き起こしかねません。
そういう意味ではビットコインは金融市場の相場の上昇をけん引するよりも暴落に引き金を引くツールになることを心配したほうがいいのかもしれません。いずれにしても年初顕著な動きを示したビットコインが何を我々に示唆しているのかはしっかり見極めていく必要がありそうです。