読み込み中...週明け3日からはようやく上海の株式市場が再スタートを切りましたが、前場のスタートで9%の下落を示現することとなり、その後は多少戻る展開となりました。
事前段階から大型株の売り禁止や中国系のソブリンファンドを総動員した買い支えでも9%下落したわけですから、売りの勢いは相当強いものであったことが感じられます。
市場では一旦下落を織り込んだという見方もありますが、この新型肺炎の問題はまだ依然として進行中であり、エイズの薬を投与して効いたといった朗報も出てはいるものの完全にウイルスの拡大を制圧できるところには至っていない状況です。
地域によっては春節の休みを今週一杯にまで引き延ばす動きもでていますし何より工場では労働者がまともに働ける状況ではなくなっている点も気になるところです。
肺炎のまん延とともに経済減速、景気停滞の影響が深刻な状況に
上海市場のほうは資本主義としてはおよそ禁じ手にしか思えないような手法で相場の下落を阻止した中国政府ですが、新型肺炎の拡大とその被害の全容を唯一知っている中国政府がここまで執拗に相場の下落を止めにかかってことを考えますと、実際のこの肺炎の被害は我々の想像以上に大きなものである可能性が高く、罹患者の拡大により中国経済へのダメージは相当大きなものになる可能性がでてきています。
2003年のSARS騒動の時でも一時的に中国のGDPは年率換算で2%の下落を記録していますが、17年たった今ではそのGDPはすでに8倍弱にまで拡大しているわけですから、仮に同様に２％の下落に転じることになれば実学換算では莫大な規模に及ぶことになり本邦の経済成長にも暗い影をさすことになるのは間違いなさそうな状況です。
そうでなくても昨年10月の消費増税のおかげで本邦経済は自律的にマイナス成長を示現し始めているわけですから、中国起因で外需が壊滅的な状況に追い込まれれば、オリンピックをまたずにリセッションに突入するリスクも考えられるだけに、足元での相場の下げが止まったことぐらいでは全く楽観視できないところにさしかかっていることがわかります。
日本株とドル円は一段の下げに厳重注意
ここのところ為替相場はリスキーなイベントを一山超えると妙に楽観停になって買戻しが進むことが多いわけですが、これは明らかにアルゴリズムのミスリードという印象が強く、結局新たなネガティブ報道が飛び出す度に再下落の方向を辿るという相場を繰り返し始めています。
特にここからは中国起因の景気の減速の進行に相当注意すべきであり、日経平均が春先に向けて上昇することは非常に考えにくくなっています。
またここから春先にかけては外為法の改正により外人が購入する場合に規制業種は１％以上取得で事前届け出が義務付けられることとなっており、すでに実施前から海外投資家から猛烈な総スカンを食らっている状況で、ますます外国人勢は日本株を買わない方向に進みそうな気配となってきています。
さらにPKOでは長年相場を下支えしてきたGPIFが投資のポートフォーリオ比率の見直しを行い、現在全体の25%程度を日本株投資に振り向けてきたのを今後は海外のミューチャルファンドの国際分散投資並みに全体の10％程度へと縮減することも予定されていることから日本株を買うのはもはや日銀しか存在しない市場が形成されてしまうことも非常に危惧される状況です。
こうなると新型肺炎の進行が夏に向けて収束に向かうまではここ3か月から4か月程度日経平均は下落が予想されますし、それとの相関性の高いドル円がさらに下値を追うリスクが高まることになるのはほぼ間違いなさそうな状況です。
もちろん一気に下がる動きではないことも想定されますが、なんらかの原因で大きく戻した時にはそれなりの戻り売りで対応することが重要になりそうです。
（この記事を書いた人：今市太郎）
