FRBパウエル議長は11日の米国下院議会証言の席上、準備預金が潤沢になれば、短期国債の購入は減額すると何度も繰り返し隠れQEが永続的には続かないことを強く示唆しました。
ただ、その時期は7月でとにかく6月までは今の金額規模での買い付けを継続することも示唆しています。これを受けてなのか米国株の三指数は伸び悩みダウはぎりぎりマイナスで引けています。
米国大統領選のある今年に関してはトランプもなんとしても株価を下げさせない動きにでることが期待されていますが、FRBとしてはとにかく隠れQEを永続させることだけは避けたい様子で、この発言をもとにしてここから米株市場がどう動くことになるのかが為替への影響も含めて非常に気になるところとなってきました。
相場上昇の賞味期限を待たずに相場が下落するリスクに注意
足もとのS&P500市場ではETFの買いレベルが猛烈に加速しておりその額は2018年1月や同年10月の相場下落の前の水準にまで及んでいます。逆に売りのポジションも増加しつつあり、2018年の二回の爆謄から大幅下落につながる状況に非常に似てきていることが気になるところです。
この調子でいきますと新型肺炎の問題とは関係なく下落するリスクも高まりそうで本当に6月まで米株相場が高値を維持できるのかどうかが非常に注目されるところとなってきていることがわかります。
米株は比較的好決算となっていますが、それにしてもここまでの史上最高値を延々を更新するほど景気がいいわけではありませんから、やはりFRBの過剰ともいえる緩和措置が余剰資金を株価に向かわせていることは間違いなく、ここからの相場もあきらかにFRB次第の状況になってきています。
一旦大幅下落が示現した場合改めてFRBが緩和に乗り出すことも
ただ、弾劾にも引っかからず中国が新型肺炎でその経済が息絶え絶えな状態をトランプ大統領は自らの大統領再選の絶好の好機と見ていることは間違いなさそうで、ここから株価が下落することがあればPPTのチームをせっついてさらに相場を再浮上させることを目論む可能性は高く、それに応じる形でFRBが新たに忖度的な量的緩和を打ち出してくることも容易に想像できる状態です。
したがってここからの相場は下落しはじめたらそれについて行き、下の底値ではまた買いに回るといった機動力を発揮した取引が重要になりそうです。
裁量取引を行うものにとってはこの最高値更新相場はとにかく恐ろしくてなかなか買いでついて行くことはできませんが、当然未来永劫に上昇相場が続くわけもないのですから、ここで一旦様子を見るという選択も重要になるかもしれません。
個人投資家はこうした相場の最後の爆上げ局面には怖いもの知らずで平気でついて行くものですが、そこからうまく足抜けできる可能性は極めて低くなるのが世の常です。
個人投資家としてはAIやアルゴとは異なる視点と方法で相場から利益を得ることを真剣に考えていく必要がありそうです。
足もとでは米株がほとんどリスクとして織り込んでいない中国起因の新型肺炎が想像以上の感染力で、すでに中国本土だけではなく周辺国にもその発症が拡大しつつあります。
暖かくなれば感染は収まるといった楽観論は依然根強いわけですが、これが5月ごろまで猛烈な拡大を示現した場合には人的影響もさることながら経済的な影響は相当なものになりそうでこうした指標がでたところで改めて相場がリスクを織り込みにいく危険性も十分に残されています。