金融市場というのは突然センチメントが変わり、相場の動きがそれまでと大きく異なる方向に動き出すということは長く取引をしていますとよく出くわすものです。
24日、日本が祝日でお休みだったこの日、アジア時間から各国の株式市場が下落をはじめ、NYタイムの米株も軒並み大幅下落を示現することとなりました。
もちろんその理由は新型肺炎の拡大ですが、これまでアジア圏での拡大が続いても、ほとんど無視し続けるような動きをしていた米株相場がいきなり週明けからこの感染拡大を強く意識し始めてリスクオフ相場になったのにはちょっと意外な気がした次第です。
イタリアでの感染拡大などによりこの問題は極東地域だけのイシューではないことを強く意識したのが理由なのかも知れませんが、2月に関してはほとんどこのリスクを意に介さないような形であげてきた米株がNYダウで1000ドルを超える下落に転じたのは多くの市場参加者が改めて驚いた動きであったと思われます。
ただ、大統領選挙を控えた今年はトランプ大統領もなんとしても株価を下げさせないように動くであろうことから、PPT/プランジプロテクションチームがまたしても動員されて手練手管で株の下支えと再上昇を狙ってくるであろうことはもはや明白です。
減税や正式なQE4の実施などまた市場を驚かせる対応をあらわにしてくるものと思われます。
ドル円も110円台前半まで引き戻されたが110円割れは回避
ドル円は先週112円までつける動きになりましたから、週明けまたしても110円台に戻ってきてしまうというのはなんとも不思議な状況ですが、やはりリスクオフになると昔ながらの円買いが出やすい状況であることも再確認された状況です。
ただし、昨日も書きましたが、米債金利の低下レベルから考えればもっと円高が進んでもおかしくない中で、この程度の行ってこい相場にしかならず、しかも三角持ち合いの上値抵抗線であった110円20銭台を下抜けることなく110.800円レベルに戻してNYタイムを終了したこともあり、意外に下値が堅いことがあらためて確認できた状況となりました。
果たしてここから114円台方向のどこまで駆け上がることができるかはだいぶ怪しくなってきてはいますが、やはり妙に下値が固くなってきていることは間違いなさそうで、もう一度上値試しの瞬間に遭遇することは十分にありそうな状況になってきています。
判りにくい動きはまだまだ続く可能性
足もとの相場は基本的にドルが非常に強い状況であることだけは間違いありません。
新型肺炎のリスクが高まる中にあってまともに投資ができる市場は米国の株式市場ならびに国債市場だけということから資金がどうしても米国にシフトしがちであり、そのためにドルが広範な通貨で買われる状況というのは今後も続きそうです。
また日本自体がウイルスのリスクを感染に対するマネジメントの大失敗からかなり背負う状況になっていることは一部の投資家からリスクオフの時の円売りという動きにつながっていることもやはり間違いなさそうで、ここからの為替相場の動きには十分な注意が必要になりそうです。
日本売りという動きは完全に一つの流れとして定着しているわけではなくなっており、ドル円は下がりにくい状況を形成している点がきになるところです。
ここからはまたさらに突然の市場のセンチメントの変化が現れることもありえそうですから、よく相場の動きを確認し、思い込みだけでトレードをしない丁寧な売買が必要になりそうです。
いよいよ来週からは3月ということで年度末特有の円転の資金の国内回帰などにより一時的に円高になることも予想されますので相場に変化に十分な注意が必要となりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)