既に市場のテーマは完全に新型肺炎の感染拡大問題になりつつありますが、26日のNY市場も立ち上がりは押し目と思って買い向かう向きが多かったものと思われます。
ダウも一気に前日比460ドルまで上昇したものの、NY近郊で発症者が出たというニュースヘッドラインからどんどん売り込まれることになり終わってみればNYダウはマイナス123.77ドルまで落ち込むという激しい乱高下の1日となってしまいました。
■ドル円5分足推移
相場の始まりのセンチメントだけ確認してロングではいっていたら結局なにも儲からなかったというのがNY市場の一日であったわけですが、すでに米国内のウイルス感染の状況変化が相場に大きな動きをもたらすようになりはじめており、こうなると普通の個人投資家ではポジションを持つことすら危ない状況になってきていることがわかります。
あらかじめ予想はできていた話ですが、とうとうここまで来たかといったような事態に陥りつつあります。
トランプ大統領は日本時間の27日午前8時半すぎから国民に向けて対応状況を説明した呼びかけを行いましたが、パンデミックになることは結局否定できないもので、対応は日本より数段しっかりしているように見えるものの、やはり決定的な解決策がないことを示現しています。
今後の相場は感染者拡大次第か
為替をトレードするものにとって実に困るのはここからの相場がほとんど感染者数の推移次第で動いてしまいそうなことで、テクニカル的に底をつけているように見えても底抜ける可能性がありますし、皆が売り向かうと必ずショートカバーがでて想定外のレベルまで吹き上がることもありえますので、売り一辺倒だけで相場に臨むのにも無理がある状況が続きそうです。
ドル円に関してはいまのところもっとも連動性が高いのがNYダウをはじめとする株式相場の動きで、ロンドンタイム以降は米債金利が低下するとそれなりの影響を受けることも確認されています。
何か悪い話がニュースとして飛び込んでくれば確実に相場は下落しそうな雰囲気になりつつあります。とくに米国の感染者数の推移はここからかなり注目が必要になりそうです。
投機筋の資金捻出売りにも厳重注意
NYダウはここ2~3日でいとも簡単に2000ドル以上下落しましたが、足元の株式市場ではヘッジファンドがとにかく今年6月まで継続とされているFRBの過剰な隠れQEを見越して株に徹底的な買いを入れているといわれています。
恐らく5月の決算前までにどこか高値で売りぬくつもりだったのでしょうが、実際には新型肺炎の問題からの大幅下落でその目論見がすっかり変わってしまった感があります。
しかし米国の調査会社によればヘッジファンドは手持ち資金の94%以上にそれなりのレバレッジをかけて投資をおこなっていますから相場の大幅下落で追証を求められるような状況に陥れば利益の出ているものから順に換金をしていく動きが強まることが十分に予想され、投げによるさらなる相場の下落にもかなり注意が必要になってきています。
これは国内の株式市場にも言えることで暴落から2日後には追証が払えない投資家の玉は強制決済を食らいますから下落のあとにまた下落の追い打ちがやってくる点には相当注意しなくてはなりません。
金融危機や地震などの災害の場合には一定の底をつけたところで市場がすべてを織り込み反転上昇する機会は意外に早くやってくるものですが、このパンデミック的な問題に関しては必ずしもすべてを織り込めない厳しさが伴いますので、とにかく用心深く対応するしかいまのところ適切な方法はありません。
今言えるのは相場をよく見ていることです。すると下げないポイント、上げないポイントの上下が結構はっきり見えてきますので、逆張りで多少の利益を積み上げていることだけはなんとか可能な状態です。かなり消極的なトレードではありますが、安全第一で生命も証拠金も守り抜くことに徹したい時間帯です。
(この記事を書いた人:今市太郎)