3日のNYタイム、G7の電話会議に市場は大きな期待をかけましたが、結果はいつの通りのような協調体制だけが声明にのるかたちとなり具体的な協調緩和が示されなかったことから市場は失望売りに動くこととなりました。
ただその後FRBが突然0.5%の利下げを打ち出したことから瞬間的には米株はNYダウで200ドル近い上昇になりましたが、その後は逆に崩れだすこととなり終わってみればNYダウで785.91ドル安ということで市場参加者の不安を利下げが取り除くことはできない状況に陥っています。
また一部の見方としては2日に米株が大幅上昇したのはこうしたFRBの動きを予見した向きが先行して買って既にリカクしてしまったのではないかといった観測もではじめています。
真偽のほどは判りませんが、とにかく利下げすれば単純に相場が好感して株価が戻る形にはならないことだけははっきりしたようで、日銀が果たしてどのような緩和措置を持ち出してくるのかが非常に気になるところです。
FRBの利下げで一段と近づいたドル円の金利差
今回の利下げを受けて米10年債はなんと1%を割り込むレベルまで金利が低下しています。
それだけ安全資産の債券に資金が流れ込む形となっているのでしょうが、為替の視点でみますとドル円はますます日米の金利差が狭まっていますから、なかなか上昇することが難しくなりそうで、実需の観点からどのレベルでドル円が買い支えられることになるのかが非常に興味のあるところとなっています。
すでに3日のNYタイムでドル円は107円割れを示現していますから、さらなる深堀は十分にありそうで、日銀の対応次第でその動きがでることが予想されます。
常識的に見ればドル円が足元の相場環境で上昇していくとはいきなり思えなくなってしまいましたが、これまでも金利差だけで動いてきたわけではありませんので実需の動き等もチェックしていく必要がありそうです。
市場参加者全員が先行きを見通せない相場
FRBパウエル議長3日の会見でコロナウイルスによる景気減速の見通しを聞かれてまったく先行きはわからないと答えました。
たしかに事実ではありますが、闇雲に市場不安を煽った形になりこれがさらに株価を下げるきっかけになったといった厳しい指摘もありますが、金融当局でさえ先行きが見えない中で政策を矢継ぎ早に打ち出しているという印象は確かにぬぐえず、むしろ利下げ意向をひっぱったほうが相場にとってはプラスに働いた可能性もではじめています。
このように金融当局者でも先のことが判らないわけですから、我々個人投資家が勝手なイメージで売買しようとしても市場に起きることは全く想定外になる可能性はかなり高そうで、よくわからないと思ったら迂闊に相場に入らずに一旦様子を見るといった姿勢をとることも重要になりそうです。
とにかく市場参加者全員がこの先の相場を見通すことができず、AI実装のアルゴやらクォンツだけが怖さを知らずに粛々と売り買いを強めているわけですから、外から裁量取引をする我々が眺めて方向感を確認するのはきわめて難しい状況に陥っていることは間違いありません。
よくわからないという感覚が強まっても決しておかしなことではないといえます。証拠金を守るためにも向きになって取引するよりは様子を見る時間を増やすのもこうした相場の対処法といえそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)