昨日もこのコラムで振れましたが足もとの相場は株も為替も猛烈なボラティリティを示現しており、もう何が理由で上下に動くのかは動いてみないとわからないという非常に厳しい状況が今も続いています。
トランプの減税政策が出たといえば猛烈に上昇、しかしすぐには実行されないかもしれないという観測がでるとまた売られ、ムニューシンが2018年末に組織したPPT・プランジプロテクションチームを再結成してなにか株価対策を始めるらしいという情報が流れればまた鬼のように買いあがるものの、トランプが登場しないと新型ウイルスに感染したのではないかという憶測からさらに売りが加速するといった具合です。
上下動の理由はいろいろ飛び出すわけですが、それによる相場の乱高下はトレーリングストップなどを置いて売買してもとても我慢できるレベルではなくなりつつあるのが実際の状況です。
こうした相場の上下動は過去にもいくらでも起きたことではありますが、これだけ大きな値幅を伴って相場が動くというのにはやはり根本的な理由があることが見えてきます。
高ボラティリティを生み出す源泉はやはり流動性の枯渇
この高ボラティリティが発生する一番の原因はやはり市場参加者が極端に減って売っても買ってもそれに対応する顧客の取引が極点に少なくなっていることが大きな原因になっているようです。
株価はとくにこうした傾向が強くなっているようですが、為替も同様で東京タイムにPKOと思しき輩がドル円を買い向かうと驚くほど上のほうまで相場が進んでしまいとんでもないところのストップロスをつけるといったことが連日起こっているようです。
冷静に考えてみればレバレッジをかけて借金をして株取引をしてきた連中が非常に多いわけですからこれだけ相場が下げればヘッジファンドにしても相応の傷みを抱えているのは間違いなさそうです。
こうなると流動性の枯渇自体だけでも相場はさらに下げることが容易に想像できるわけで、ここからさらに相場が自律的に下げるリスクはつねに意識しておく必要あがりそうです。
FRBは日銀同様米株の購入を法改正で検討中との観測
市場はますますFRBによる救済を待ちわびている状況に見えますが、そのFEBはまるで日銀に習うかのように米国の株式市場から直接株を購入できるように法改正を真剣に検討中ということで、いよいよ日銀的な人工的値付け相場を進めることが実現しそうな雰囲気です。
もちろんこうなればそれなりに株価は戻すことになるのでえしょうが、そもそもこうした不自然な人工値付け相場を長々と続けてきたことが足元の相場の大きな崩れに繫がっているといっても過言ではありませから、本質的な相場の問題を解決することにはならない危険性もあり非常に気になる状況となってきています。
日銀も同様に利下げよりは株買いのほうに力を入れることが容易に想像できるところですが、すでにかなりの額を買い支えている中ですべての上場企業が国有化になりかねないほど株にここから資金を投入することで本当に下落相場にワークするのかどうかはまったくわからないところに差し掛かってきています。
そもそもパンデミック相場に対する経験がほとんどない市場に中央銀行が前代未聞のような動きを加速させることで相場を安定化し制御できるのかという大きな問題の結論がこの相場で出されることになるのかもしれません。
どうもこうしてみますと、足もとの相場の下落はまだまだ序盤戦であり、ここから決定的な暴落が走る可能性は十分に残されていますので、株も為替も十分に引き付けたところで次の暴落を狙うことに専念すべきところに差し掛かっている気がしてなりません。
(この記事を書いた人:今市太郎)