今週は米国FOMCと日銀政策決定会合が相次いで開催され金融政策が発表されることになります。
FOMCでは先日0.5%の利下げが実施されたばかりですが、市場はさらに0.5%ないし0.75%の利下げを織り込んで仕舞っておりどれだけの幅になるのかはわかりませんが、FOMCとしても市場の期待に応えるために利下げは実施せざるを得ない状況に陥っています。
Data Fedwatch CME
しかし、こうした緊急利下げというのはとりあえずの効果はあるとしても長く持たないのが実情のようで、98年から過去7回実施した緊急利下げでは98年以外は殆ど失敗しているというかなり厳しいデータも市場に出回り始めています。
実はほとんど成果のないFRBの緊急利下げ
ZeroHedgeにFRBの98年からの緊急利下げ後S&P500の動きを公表していますが、本当に98年の時の上昇からITバブル相場に繫がった時以外はほとんど相場は失速する形となっておりかなり緊急利下げの効果が低いことが気になるところです。
とりわけリーマンショックで大きく下落が始まる前に行った利下げでは一週間後ですらなんの効果もない状況に陥っておりその後半年で大きく下落したことが気になるところです。
緊急利下げ語1か月の相場の動きをチャートで示したものはさらにその状況が可視化されており、どうもここから株価が劇的に戻りを試すことを期待するのはほぼ無理な状況になってきていることがわかります。
今回の利下げは0.5%にさらにプラスオンになるわけですから過去の緊急利下げと比較しても相当な勢いですべての手立てを今回完全に吐き出すことになるわけです。
さらに状況は悪そうで株価のパフォーマンスがなんら改善しない場合、さらに債券の購入などによる緩和措置を深堀することも考えなくてはならない時間帯がやってくることも考えられます。
金融危機とは違う状況でFRBの対応だけで相場が戻せるのか
今回市場ではムニューシン率いるPPTのチームが再度招集され動きを始めていることから、週末大きな相場の戻りがでているとの見方も強まっています。
しかし、リーンマンショックの前のサブプライム問題というのは米国の金融機関が引き起こした危機であり、利下げや緩和措置でリセッション入りを何とか防ぐことができたのは事実ですが、今回の場合には新型コロナウイルス起因で世界的に実態経済が大きく悪化しているのですから、果たして本当に中央銀行の金融政策だけで相場をもとに戻すことができるのかどうかには相当疑問が残るものになりつつあります。
これでダメということになると今度は政府による財政出動に大きな期待が集まりますが、どれだけの規模のものを早期に打ち出せるかは国によってもかなり異なるものとなることが予想されるところとなっています。
ここからさらに底をつけにいくことも覚悟すべき状況
先週の米株の下落は一旦底をつけた感がありますが、果たしてこれがセリングクライマックスだったのかどうかということになるとまだまったく自信はもてないのが実情で、これからさらに下値を模索する動きがでてもまったくおかしくはない状況です。
一般的に20%を超える株式相場の下落が示現しますと完全に弱気相場に突入することになるわけですが、過去のケースから考えますとS&P500では平均してもベアマーケットに突入してから底値を付けるまでは83日程度の時間がかかっておりここからまだ二か月半近く先まで下落が続く可能性を考える必要があるとされています。
今年は米国の大統領選も控えていますから手練手管で株上げを狙う動きがでてくるのでしょうが、それでも相場が上昇できるのかは大きな注目点であり、当然為替におけるドルの動きもこれと連動するのかどうかに関心が集まりそうです。そういう意味では今週の相場はまた一段と難しい時間帯に突入しそうな雰囲気が漂います。
(この記事を書いた人:今市太郎)