25日の為替市場は東京タイムからドル円が111円台に乗せてくるようになり、いよいよ112円を試すことになるのかと注目されました。
しかし、NYタイムは株価がさらにもとに戻る動きを示したこともあり、一旦追証のためのドル需要も落ち着いたようで111円台で推移して殆ど動かない相場となりました。
■ドル円1時間足
先週からNYタイムになると決まって上値を試すようになったドル円の1時間足チャートはダブルトップならぬ5連続111円台中盤目指しの極めて不思議なチャート構造を示し、上値は止められ下値は切りあがるという妙な三角持ち合いのような結果を示しはじめています。
112円まではいくらも距離がなくなっていますが、これだけ何度もトライして上抜けないということはここから上は相当売りが並んでいるように思われ、予想以上に上値を試すのが難しくなっていることがわかります。
25日が一旦のドル買いの境目になるのではないかと事前にこのコラムでも予想しましたが、やはりここが分水嶺になったようで市場には相当な金額のドルが提供されるようになってきたことも為替市場からドルを調達する動きが落ち着いた可能性はありそうです。
破綻や解散に追い込まれたファンド多数の模様
ところで、現状ではまだはっきりしませんが今回の暴落で相当数のヘッジファンドなどが破綻や解散に追い込まれているようで、影響が市場に顕在化するのはまだまだこれからになりそうです。
このコラムでも何度となくご紹介してきました世界最大のヘッジファンドである「ブリッジウォーターアソシエイツ」もいわゆるリスクパリティ戦略をとったものが軒並み25%以上の損失を被ることになったようです。
クォンツファンドとしてめざましい収益を確保してきたはずのルネッサンステクノロジーズでもマイナス25%の損失ということで、S&P500の下落幅に比べればまだましとはいえ、今回の下落で利益を確保できたファンドはほぼ皆無であることが見えてきます。
結局追証が支払えずデフォルトしたファンドが多数となれば保有商品の売りが確定することになり、相場はここからさらに多方面の資本市場において荒れる可能性がではじめています。
株式市場や債券市場は一旦の落ち着きを取り戻したのでしょうが、問題は社債などの市場で相場はここからさらに混乱することが予想されます。
恐らくすべての清算には数か月かかることでしょうから、まだまだ相場では驚くべきことが示現しそうな気配濃厚です。
テクニカル的に上値追いを期待されるドル円
為替にフォーカスしますと、ドル円はテクニカル的には連日下値を切り上げており、上値を目指す可能性を指摘する向きが増えています。
しかし、年度末のここ数日はある程度安定した動きになるとしてもそこからさらに112円を超えて本当に上昇するかどうかは、ドル円というきわめて政治性の高い銘柄だけに良く判らない部分をはらんでいるのが実情です。
米国では220兆円という巨額の財政支出が決定しており、ここからはトランプ政権も積極的にドル安を志向してくることは容易に想像できるところです。
112円を仮に超えたとしてもここからドル円が青天井で上昇するとは考えにくいのもまた事実であり、下値もそれなりに堅そうではありますが、一定幅のレンジ相場が続くことも考えておく必要がありそうです。
過去5日ほどのドル円の上値、112円が接近することによる異常な重さは想像以上のものがあり簡単に抜けて上昇していくのにはそれなりの材料が必要になりそうです。
果たして足元の状況にそうした材料が供給されるのかどうかはかなり疑問であり、少なくとも3月一杯は横展開が続きそうに見えます。
(この記事を書いた人:今市太郎)