ここのところ安倍首相や東京都知事の会見があるたびに、緊急事態宣言がとうとう発令かといった緊張感が市場にも一般の家庭にも走る時間が多くなっています。
政府の説明では緊急事態宣言は国会にまず説明するそうなので、いきなり発令とはされているようですが、今の政権の現状を見ていますと、何が飛び出しても不思議ではありません。
近い将来にこうした都市部の戒厳令のような形が現実のものになるのではないかという危惧の念は非常に高まりつつあります。
世界的にみてももはや感染者数の拡大が確実に相場にネガティブな影響を与えているのは間違いなく、金融政策や財政政策が打ち出されても米株は感染者数が中国を超えた段階で激しく売られる展開となっています。
もはや政策と感染者数との相殺合戦のようなことになりつつあり、米国でここから死亡者が激増した場合、また相場が一時的にせよ閉鎖されるような事態に陥った場合には現状とはくらべものにならないぐらいの相場下落が示現するリスクも高まります。
足もとでの感染状況
ここから同様のリスクが高まりつつあるのが日本で、東京五輪が延期になった直後から感染者数は増加の一途と辿っております。
どうも東京を中心にして首都圏の感染者数は現在公表されているようなレベルには収まっていないことが多くの国民にも伝わり始めており、それが首都圏封鎖という噂につながりつつある状況のようです。
志村ショックが国内の雰囲気を大きく変えた
既に皆さまご案内のとおりコメディアの「志村けんさん」が29日の夜に手当の買いもなく亡くなられたことが30日朝10時近くに速報で流れてからというもの、家庭でも市場でも大きな緊張が走る状況に陥っています。
まず新型コロナウイルスでこんなにも簡単に人が死ぬこと、それが志村けんさんであったということが多くの国民の危機感を高めることになっており、株式市場もこのニュースで一瞬800円以上の相場下落に陥っていますので相当なインパクトがあったことが感じられる次第です。
ここから首都圏の封鎖が実施され、しかも一定期間それが続くということになれば国内消費はガタガタの状況で新型コロナよりも経済にやられてしまいそうな雰囲気がかなり高まりを見せています。
当然株価に影響がでないはずもなく、米株が一定の戻りを試したとしてもこうなると本邦起因で相場が一方的に下落する場面に遭遇する可能性は相当意識しておかなくてはならなくなりそうです。
為替に関して言えば米国FRBがここまで思い切った緩和措置を出してきていますからドル安に向かい安く、しかもトランプ大統領が積極的にドル安を志向することになれば政治的にもドルは下落しやすくなることが予想されます。
さらに日本株が自律的に大幅下落となった場合には、あらためてドル円が円高方向に振れるリスクを意識しておかなくてはなりません。
まさかの事態に備える努力が必要
どれだけ酷い発症者が出たり死者がでたりしてもなんとなく他人事に見えたこの新型コロナウイルスの感染問題は広範な国民に深刻な事態であること痛感させた可能性が高く、ここからはより一層ネガティブな反応が市場に示現することを覚悟しておかなくてはならない状況に陥ったようです。
相変わらず、国内におけるPCR検査のほうは進んでいませんから、誰が感染しているのかはまったくわからないままで、その中で非常事態宣言が出された場合の混乱は容易に想像がつくだけに相場への影響もまったく軽視できないところにさしかかってきています。
今のところ市場の閉鎖という話しは出てきていませんが、ここから先は何があってもおかしくないだけに、取引のボリューム管理を含めてリスクを事前に想定した取引をしていくことが求められることになりそうです。
為替の場合国内ではなく世界的な市場で、実需もありますから特定国の株式市場に比べれば閉鎖リスクは少ないと考えられますが、それでも注意を怠らないようにすべき時間帯がやってきているようです。
(この記事を書いた人:今市太郎)