国内では事前報道通りとうとう非常事態宣言が1都6県で出されていますが、東京に関して言えばテレワーキングでできないサラリーマンは粛々と何事もなかったかのように会社に出勤しています。
しかし、強制ではなく要請であるとされている大学や専修学校など教育施設、自動車教習所、学習塾、体育館、水泳場、ボウリング場、ゴルフ練習場、バッティング練習場、スポーツクラブ、劇場、映画館、ライブハウス、集会場、展示場、博物館、美術館、図書館、百貨店、マーケット、ショッピングモール、ホームセンター、理髪店、質屋、キャバレー、ナイトクラブ、バー、個室ビデオ店、ネットカフェ、漫画喫茶、カラオケボックス、パチンコ店、場外車券売り場、ゲームセンターなどは、まともな休業補償もないままに無理やり5月の6日までお休みを余儀なくされるわけです。
未曽有の消費の落込みがここからやってくることで、株価などがあく抜け感などという言葉で簡単にここから上昇するとはまったく思えない状況になりつつあります。
東京の繁華街を覗いてみますと過去の98年の消費増税大不況、2000年のITバブル崩壊、2008年のリーマンショックなどを比べても見たことのない風景が展開しており、顧客がほとんどいない上に誰もカネを使わないという恐るべき状況に陥っていることがわかります。
非常事態宣言は当面5月6日までということですが、果たしてこの調子で個人消費、しかも日銭で回していくオペレーションビジネスを行っているところが果たしていつまで我慢できるのかが非常に気になります。
アルゴが妙に買い上げる相場
米国の株式市場もちょっと新型コロナの死者数がNYで減少傾向にあるといった報道が出ただけで異常とも思えるほど相場が買い上げられるようです。
実はこれはアルゴリズムの仕業であることが判ってきており、もともと取引量が少ないところにこうした特異な買いの動きがでると必要以上に新型コロナの医療領域とは別にオーバーシュートが起こってしまっているようです。
もちろんアルゴの買いはこうした異常な相場の上昇をもとから目論んでいる可能性はありますので買えばどこかで反対売買をきっちりおこないますから、なぜか暴騰した翌日は暴落といった激しい上下動が繰り返される状態です。
国内の株式市場も一旦はショートカバーという部分もあるのでしょうが、非常事態宣言がでたから相場にあく抜け感がでたなどという後付けの講釈はまったく事実を正確に語っているとは思えず、やはり短期の投機筋が短い売買で利益を稼ぐために暗躍しているとしか思えない状況です。
折しも、5月末は多くのファンド勢の半期決算ですから、3月に大損したファンドは当然解約が集中するであろうことは誰がみてもすぐわかる話で、とにかく5月末に向けて少しでも空いた穴を埋めるべくアルゴリズムが稼ぎに回っているとみると足もとの不思議な相場展開もなんとなく理解できるものがあります。
生き残ったファンド勢はここからの相場の下落を徹底分析中
国内の証券会社のアナリストの中にはみんなが二番底を気にするなら米株には二番底は来ないなどという詭弁を平気でメディアに登場して展開する向きも登場しています。
3月になんとか閉鎖や破綻を逃れた米系のファンド勢はここから相場がさらに下落して、もっと大底をつけに行く可能性について相当時間をかけて分析をはじめているようです。
たしかに米国の金融市場内のサブプライムローンという捏造商品がきっかけでおきた金融危機でさえも6割近く米株が下げているわけですから、金額幅は大きくても3月の暴落がこのパンデミック暴落のすべてであると断定できないのはよくわかるものがあります。
すでにこのコラムでも書いていますが、日経平均なら足元の水準から4割下落といったことはそうレアな状況ではないでしょうし、S&P500が1500まで下落するなどという悲観的な話も確かに全面否定はできないところにあります。
もちろん本当にそこまで下落するかどうかは誰にも判りませんが、市場参加者のプロはそのレベルまでの下落を投資に織り込まざるを得ないところにあるということは理解しておいてもいいのえはないでしょうか。
そういう意味では現在妙に戻りをためしている日米の株価状況ほどフェイクな香りのするものはないというのが正直なところです。
一部の個人投資家の方の中にはコロナの問題は金融市場では終わったなどと敬虔な見通しを口にする方も多くなりはじめていますが、状況は決してそんなに楽観的なものではありません。
為替にもここから厳しい洗礼が待っている気がしてならない状況です。
(この記事を書いた人:今市太郎)