9日FRBは企業や家計を支援するための最大2.3兆ドルの緊急資金供給策を発表し、これでもかと言わんばかりに「金融緩和措置」を繰り出し始めています。
内容としては従業員1万人以下の企業に民間銀行を通じて6000億ドルを融資するほか、7500億ドルの資金枠を設けて大企業の社債も買い取るというもので購入対象にはダブルB格以下の低格付け債も含まれるとのことです。
つまり、中央銀行がジャンク債の買い入れを積極的に行うという前代未聞の状況が展開されることとになったというわけです。
どうやらFRBは日本円にして1000兆円規模まで資産を拡大することも視野に入れているようで、足もとのジャンク債の買い入れなどがさらに加速する可能性がではじめています。
もちろん非常時ですからあらゆる手を尽くすことになるのでしょうが、それにしても中央銀行がジャンク債を買い入れてゴミ箱のような動きをするというのは相当驚くべ状況です。
また米国の失業率が急激に上昇しているのも気になるところで、3月末からの三週間であっという間に新規失業保険申請件数は1700万件となっており、生産労働人口1億6500万人から考えればすでに失業率は10%を超えている状況は明白です。
一部の予測では1929年の大恐慌後の失業率25%に到達するのではないかという話しも既に出始めていますから、ここから株価がするする上昇してもとの中央銀行バブル相場に戻るということはほとんどあり得ない状況になりつつあります。
Data ZeroHedge
株式市場はFRBの大幅な緩和政策を好感して大きく値を上げていますが、そもそも新型コロナの感染が収束したわけではありません。
NY市の死亡者数が微減しても誤差範囲には変わりありませんから、こうした材料でアルゴリズムが買い上げるというのはかなり違和感のあるものです。
実態経済の悪化と米国の失業者数が猛烈に上昇する中で、再度どこで反転下落に転じるのかが注目されるものとなっています。
2008年のドル円相場の大幅下落再来が気になるところ
ころで為替に目をやりますと、2008年のリーマンショック後のFRBの緩和措置の開始でドル円が大きく下落した過去が蘇ることになります。
9月のリーマンブラザースの破綻当時、ドル円は奇しくも108円台にあったわけですが、この破綻を受けて一旦下落。
その後9月一杯はなんとか100円台で上げたり下げたり推移しましたが、10月中盤以降は100円台が維持できなくなり、年末に向けて90円まで割り込むといったかなり厳しい状況に追い込まれたことを今更ながらに思い出す次第です。
今回そこまで厳しい円高に見舞われることになるのかどうかははっきりしませんが、上述のようにFRBがかつてないほどのレベルまで緩和措置を行い、しかも市中にドルを溢れ返しているわけです。
金利の大幅下落も手伝ってドル円が円高方向に下落する可能性はかなり高そうで、それが果たしていつ動き出すのかに注目してくことになりそうです。
FRBの緩和措置とは別にトランプ政権自体も猛烈な金額での財政出動をしてきますから、当然債務を減らすためにもドル安を志向してくることは間違いなさそうで、最低100円程度までのドル安円高はそう遠くないうちに現実のものになるのではないかと考えています。
ただし、足元はかなり株価が異常な雰囲気で戻していますから、こうしたドル安の動きが市場で示現するのには多少時間がかかることも考慮する必要がありそうです。
数週間前に比べますとかなり落ち着いた感のある為替市場ですが、次の方向性を相場が待っているようにも見えるだけに、どのような動きが実際に見えてくるのかについてはさらに検証していきたいところです。
(この記事を書いた人:今市太郎)