連日発表される国内の新型コロナ感染状況を見ますと、緊急事態宣言がでてサービス業や料飲店などの営業休止が進んだとしても、もっとも濃厚接触してしまう朝晩の電車に乗って粛々と通勤するサラリーマンの出社が一定期間止められないことには感染が止まる筈がないのは相当なウイルス素人でも認識できる状況になっててきています。
なにより都内の地域の主力的存在の大病院の院内感染が急激に進み、結局のところ広範な検査を行わなかったつけが一気にここへ来て示現しはじめているのは明らかで、こうした状況で個人投資家は本当にチャートだけみて先行きを想定していていいのかどうかかなり迷う局面になってきています。
JPモルガンの分析では収束までに相当な時間がかかる見通し
金融機関の分析ですから一体どこまで信用できるのかという問題は常に残りますが、JPモルガンが次のような分析チャートを開示しています。
これによりますと、新型コロナの感染はピークをつけるとその後若干鎮静化するものの、また感染者が増えては減少するの繰り返しを続けるようで、金融市場でいえば三角持ち合いのようなチャートパターンを形成して最後に収束することがわかっています。
次に現状の各国の感染状況ですが、先行して始まった中国はすでにピークアウトしているように見えますが、それ以外の国はまだこれから感染ピークがやってくるわけで、かなりの死傷者をNYで出している米国でさえピークには達していないことがわかります。
ただこの話、上の三角持ち合いチャートの最後まで到達した結果なのか最初の一番大きな波動を乗り越えただけなのかはまだ見分けがつかない状態で、実際に武漢ではまた新たな発症者が見られて完全に収束しているわけではないという情報も出回り始めています。
この感染問題は時刻だけ感染が収束すればそれでいいという単純な話ではありませんが、本当に現状で我々はどこにいるのか、そしてここからどれだけ収束までに時間がかかるのかは相当精査しなくては、行動を間違えかねないところにいることがよくわかります。
相場に闇雲な期待感をもつのはまだ早い
昨日もポストコロナウイルスの相場を考えるのはまだ時期尚早であるというコラムを掲載しました。
このチャートを見ますとまさにそれが裏付けられる状況で、各国が総力戦で新型コロナと戦ってもこの調子ですから、国内の決して適切とは思えない対応で本当に他国と同様の期間での収束がはかられるのかについては相当クビをかしげる状況に陥っていることがわかります。
とくにこれまで金融市場では誰も語らないことですが、日本の対応の悪さに起因して世界と比較しても爆発的な感染者のまん延が続き、事実上都市部においてより厳しい封鎖措置などを実行せざるを得なくなる程状況が悪化した場合に相場は果たしてどう動くことになるのかも非常に気になり始めています。
足もとの日経平均はいよいよ取引高が減少し、外国人はほとんど買い向かっていない状況で、先物とのバランスの中で利益を確保しようとする短期の投機筋の動きが目立ち始めています。
それにしても日本株についてはリアルに暮らしている国民がもつ危機的状況と相場とがかなり乖離しているようにも思われますが、どこかで一気にそのしわ寄せが現れるのが非常に怖い状況になってきています。
為替はいよいよドル円が上昇できなくなり下方向を模索しはじめているようですが、こちらが二番底を模索し始めているのだとすれば株価もかなり危ない時間帯に入るのではないかと感じます。
世界でもだれもここまでのウイルス感染を潜り抜けた相場を体験した人間がいないわけですから、まさに前人未踏の相場になるのですが、国内の危機的状況がまだあまり相場に明確に現れていないところが非常に気味の悪いものになりつつあります。
(この記事を書いた人:今市太郎)