読み込み中...22日東証マザーズの株価が下落することになりましたが、どうやら本邦の個人投資家は、なにを思ったのか原油ETFの信用買いに突進してしまったようです。
300億円ほどの買上げを行った直後に暴落を食らい、かなりの損害を出して追証を求められるとんでもない状況に陥っているようで、こうした資金のためにマザーズ保有株を売却する向きが増えているようです。
3月の米株大暴落のときに市場参加者がありったけの手持ち金融商品を売り飛ばして、マージンコールの資金をかき集めたのと同じ状況のサイズの小さいものが展開されたことがわかります。
3月に相場で損失を被った向き、あるいはリモートワークでこの春から突然金融市場に参入してきた向きがいきなり原油市場に好機ありと見て、資金をどっさり投入してきたのかも知れません。
原油市場の取引の構造を正確に理解しないままに安値で買いを入れてしまったのが大間違いの始まりで、損失合計が果たしてどの位になってしまったのかが非常に興味のあるところとなっています。
商品相場がマイナスになることなど誰も想定していなかった
今回のWTIの先物については「限月」が来ているので価格が下落することは十分想定内の動きになっていたのだろうと思います。
しかし、過去の価格推移から考えて現物引き取りの擦り合いからまさかのマイナスになるということは誰も想定していなかったもので、とくに差金取引だけをしているトレーダーにとってはまったく理解できない事態になったものと思われます。
しかし足もとの市場はすでに新型コロナ禍起因で相当壊れてしまっており、何が起こるのかはまったくわからないところにある点は相当しっかり認識しておかなくてはならないようです。
つまりあり得ないことが起きる可能性は十分にあるということです。
原油先物のマイナス価格示現は想定外の動きの典型例ですし、相場に流動性が枯渇するとパニック売りでここまで酷いことになるということを改めて我々個人投資家に警鐘をならずいい機会になったとも言えそうです。
ただ莫大な損失を被った国内の個人投資家は猛烈に高い勉強料になってしまったことは確かで、「いい勉強になりました。」などとは言えない方も多くいらっしゃるものと思われます。
落ち着きを取り戻したかに見える足元の相場も何が起きるか判らない
足もとの相場は3月に比べればかなり落ち着きを取り戻しているように見えますが、
今回のWTI原油先物の価格暴落の一件を見ていますと、まだまだここからあり得ないことが頻発しそうで、油断は禁物です。
とにかくあり得ない状況というものはほかの市場でも次々現れることが容易に予想できますので、相場を断定せずに柔軟に切り抜けること、また必ずストップロスを置くことで被害を莫大なものにしない工夫をしていくことが必要です。
国内では日々是お休みのような状況ですからあまり意識されていませんが、いよいよ来週からゴールデンウイーク入りで人は出歩かなくても国内市場はお休みに突入することになります。
この時期は海外のファンド勢は5月末半期決算のために利益を確定させる動きを強めますし、例年短期の投機筋は本邦の連休を狙って仕掛け売買をかけてくることが多くなります。
国内ではリモートワークで時間ができた個人投資家がかなり多くFX市場にも参入しはじめており、3月はなんと2月の「2.6倍」もの取引があったことがわかっています。
ただこうした損切りをしない国内の個人投資家の行動はかなり画一的で、インターバンクや短期の投機筋のかもにされるケースも目立ちます。
5月の連休がそうした筋の仕掛け売買にならないことを祈りたいところですが、何か想定外のことが起こりそうな予感も強くしてくる次第です。
せっかくの資金をこうした相場状況で失うことのないようくれぐれも用心深くトレードしていきたいところです。
（この記事を書いた人：今市太郎）
