「パナマ文書」とは「タックスヘイブン」を利用している企業や個人の名称が、パナマの法律事務所であるモサック・フォンセカから流出してことに端を発するスキャンダルで、世界の大手の企業や著名人などが節税のために利用していたことが明るみにでて大きな話題になっています。
一部の国ではこうした企業や個人の動きに大きな関心をもっており、すべての情報を開示することをデータ開示者に求めており、この文書をめぐっての今後の展開が大きく注目されるところです。
何故流出したのかは不明のまま
そもそもなぜこの文書が外に出たのかですが、租税回避地への法人設立を代行するこのパナマの法律事務所の金融取引に関する過去40年分の内部文書が、どういう経緯かは不明ですが、すべて流出してしまったことから今回の問題は始まっています。
盗まれたものなのか内部からの意図的な流出なのかは依然不明の状態ですが、この情報を南ドイツ新聞が手に入れることになります。
しかしこの新聞社は自社だけで公開するのではなく、非営利組織である国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)に情報を提供することになったため、幅広い開示が行われることとなりました。
ICIJはその後世界の100以上のニュース機関に情報を拡散したことから、先進各国で大きく取り上げられることとなり、この内容をうけてアイスランドの首相が辞任するなど影響は現実のものとなってきています。
このデータ量は「2.6テラバイト」と莫大なものであり、分析にもかなりの時間がかかるものと思われますが、今後その内容をめぐって問題がさらに大きくなる可能性もでてきています。
米国関連の資料は公開されない謎
ただ、このパナマは1999年に米国から独立を果たしていますが、依然として米ドルを通貨としており、そおの経済はかなり米国に依存する存在となっているに加え、米国関連の人物の内容がほとんど公表されていないという点も不可解であり、米国によって仕組まれた情報操作ではないかという謀略説も飛び出しています。
実際に欧州や中国、ロシアなどの要人の名称が詳らかになっており、日米ともにあまり国内では大きな問題が顕在化していないのもこの文書開示のひとつの特徴ともなっています。
また、企業レベルでは節税目的でこうした「タックスヘイブン」の地に企業を設立するということ自体はめずらしいものではなく、多くのグローバルカンパニーが行っていることも事実であることから、悪質な税逃れとみなされるかどうかの法的な判断も必要になります。
名前があがったからすべて悪というわけにはいかない、難しい部分があることにも理解と慎重な判断が必要となります。