ベイルインとは企業、金融機関などが破綻したときに内部から救済するという意味で使われる言葉で、債権者の負担により債務の削減や減免、返済猶予などを実現して解散なり再生なりを行うことをこう呼んでいます。
それとは対照的に公的資金を利用して企業や金融機関を救済することをベイルアウトと呼んでいます。
これまでの金融機関破綻救済はベイルアウトが主流
国内におけるバブル崩壊後90年代の金融機関の破綻をはじめとして、米国でのリーマンショックによる金融機関の救済など先進主要国における大手金融機関の危機的状況に関してはほとんどがベイルアウトという国主導の救済措置がこれまで主流となってきたのが実情です。
それだけ国内の主要金融機関を単に破綻させてしまうということが経済的にも大きな損失を与えてしまうからで、資本主義であっても他に手がない状態となったのがここ数十年の動きであったといえます。
ベイルインを決めたEU
ところが、EUは今年の1月から金融機関の破綻に関してベイルアウトではなく、ベイルインによる救済を正式に法的に決定することとなり、国が資金を投入して救済することができなくなってしまったのです。
これはギリシャ危機の際にギリシャ国内の金融機関が破綻危機に見舞われ、EU加盟国が止め処もなく費用負担を強いられる羽目になったことから、ドイツの強い働きかけで、今後の金融機関の破綻はベイルアウトではんくベイルインで債権者、利益者負担で対応するということが決定してしまったのです。
したがって直近で問題になっているイタリアの大手銀行の危機的状況に関しても債権者がなんとかする方向で救済が進むことしか手立てがなくなっているのが今の状況となっているのです。こうした動きは米国や日本にはまだ定着していませんが、今後参考にされる可能性は高いといえそうです。
ドイツ銀行が破綻した場合どうなるのかが問題
今金融市場で大変注目されているのが75兆ドルという多額のデリバティブ取引をかかえて、破綻リスクに直面しているドイツ銀行の問題です。
このドイツ銀行のケースでは既にデリバティブの扱い額だけでドイツのGDPの20倍という巨額なボリュームになっていますから、当然ベイルアウトなどでは救済できないことも事実ですが、その一方で債権者などだけでこの金額をなんとかできるのかどうかも大変大きな問題であり、足元では破綻しているわけではないものの、ここからのEUの判断、ならびにドイツの判断が非常に注目される状況となってきています。
EU圏でひとたび金融危機が拡大すればそれを抑止するものは何もない状態であり、これが世界的に飛び火することなればリーマンショックを超えるほどのリスクに直面することは間違いないことからドイツ銀行の動きに大きな関心があつまっています。