ナンピンとは漢字では「難平」と書くのですが、まさにこの漢字が内容を表しており、上昇を期待して通貨のロングポジションを購入したのに意に反して下落をはじめてしまった時に、さらに下値で買い増して平均コストを下げることによりなんとか再上昇で負けを取り返す手法ということができます。
このナンピンンという言葉は株式市場で先に使われてきたものですが、いまやFXでも当たり前のように使われるようになっています。
ただ、見かけ上は平均コストを下げる有効な手段のように見えるナンピンですが、そもそも相場が反対方向に動き始めているときに逆方向に買いを入れているわけですから、さらに下落を始めてしまうと単に損失を大きくするだけになるためプロはできるかぎりこの手法を使わないとされています。
日本人は無類のナンピン好き
ナンピンは言葉は悪いですが自分がしでかした取引の失敗をなんとかごまかして補おうとする行為で、日本人は無類のナンピン好きといわれています。
欧米ではナンピンは「Average down」と呼ばれていますが、一言でいい表す専門用語はなく、欧米人はほとんどナンピンを行わず損切りで入りなおすことが中心になっているといわれます。ナンピンは相場がもとの方向に戻ることを想定した買い増しですから、この時点で妄想が前提になっています。
たしかに難を逃れられる可能性もありますが、下落のトレンドがではじめているときにいくらナンピンをしてみても損失の痛手を大きくするだけになるため、どうもこういうことを積極的にやっているのは日本人だけのようです。
ナンピンするなら事前の自己ルールを設定する
ナンピンはするが損切りは積極的にしないのが日本人の個人投資家のお家芸のようになりつつありますが、これだけナンピンをしたがる個人投資家がいる以上一切行わないということよりは、自分で最初から一定のルールでナンピンを行うことを考えるのが合理的といえます。
たとえばナンピンはやっても3回までとしトータルでいくら含み損がでたら全部一旦損切りするといった自主ルールを事前に厳密にセットしてそれを外れたら絶対にそれ以上はやらないという堅い意思を持つことが重要になります。
日本人投資家の実に9割近くがドル円の売買を行っており、このドル円はかなりの確率でレンジ相場でもとの価格に戻る可能性が多いこともナンピンを増やす原因になっているようですが、ポンド円のように一方向に動き出したら当分もとには戻らない恐るべき通貨ペアもありますので、自己ルールを設定するといってもどの通貨ペアでナンピンを行うかについては相当よく検討することが証拠金を無闇に減らさない大きなポイントとなります。