EBA・European Banking Authorityは日本語で欧州銀行監督機構のことをさす略号で、欧州銀行監督庁や欧州銀行監督局などとも呼ばれています。
日本における金融庁と同じ役割を果たすもので、EU加盟各国の銀行監督当局を統括するものとなっています。この形態は2011年に発足したもので現在はロンドンに設置されていますが、この先英国がBREXITで離脱するタイミングではEU側加盟国のどこかに場を移行することが予想されます。
その役割はEU加盟国の金融当局と連携しながら域内の金融機関を監督することが主たる業務になっており、金融危機が発生したときの対応などでは、各国当局や各金融機関へ要請や要求を行うことができる立場となっています。
また、EU全体で、金融市場のマクロの健全性と個別金融機関のミクロの経営状況を把握する仕組みの一つにもなっています。ギリシャやイタリアなどの金融機関の危機ではこの機構がたびたび登場しているのが見受けられます。
ESFSの機関のひとつとしてのEBA
EUにはESFS・European System of Financial、日本語で欧州金融観測制度という上位の組織があり、EBAはこの仕組みのなかのひとつとして銀行を中心とした金融機関を統括しています。
それ以外には欧州システミックリスク評議会、欧州保険企業年金監督庁、欧州証券市場監督庁、欧州監督当局合同委員会、加盟国の管轄当局・監督当局がESFSの構成機関として機能しています。
依然として問題をかかえる銀行が多い欧州兼
2008年のリーマンショック以降、米系銀行が継続できなくなった業務を欧州系銀行がかなり引き継ぐ形で事業が展開されましたが、実はこれが各行に大きな影響を与える結果となり、特に負債を増やすきっかけになったという指摘があります。
EBAは域内の銀行のストレステスト(健全性審査)を定期的に行っていますが、各行はこれまでに資本の積み増しを実施したことで一応の経営リスクは低減しているようですが、その一方でマイナス金利の実施や英国のEU離脱などは引き続き銀行経営に大きなリスクを与え続けており、今後も銀行経営の健全化への取り組みはさらに継続して行われていくことが求められています。
実際にストレステストを実施してみると個別の銀行にはまだ相当な問題が残されており、解決から程遠い状況になっているとの指摘もでています。
本邦の銀行は90年代にかなりの勢いで膿を出し切って負債を整理していますが、EU圏の銀行は必ずしもそこまで健全性を回復していないことが気になるところで、EBAの果たすべき役割は今後も引き続き大きなものになりそうです。