COCO債とはContingent Convertible Bondの略で日本語では偶発転換社債と呼ばれるもので音の響きからくるライトな雰囲気とはかなり異なる内容の転換社債のことをいいます。
これは欧州の銀行が自行の資本を増強するために発行してきた債券で平均利回りが5%から6%と高いことから日本国内の投資家の関心のたかい債券ということができます。
ところがこの債券にはひとつ大きな問題があり、発行した銀行の自己資本比率が一定以下に下落すると、即座に株式に転換されるか、元本が大幅にカットされてしまうという恐るべき商品となってるのです。
株に転換されるなら問題ないと思われる方も多いと思いますが、大幅に価値を失うことになりますから二束三文は間違いなしで、さらにギリシャの銀行にあったように債務のヘアカットなどということがおきればそもそも債券としての機能を全面的に失うことになるので、国内債券にはまったく存在しないリスク満載商品となっているのです。
したがって目先の利息だけからこの手の商品を買い入れた場合にはすさまじいリスクに直面することになるのです。
ドイツ銀行のCOCO債も一時危機的状況に
COCO債の危機的状況で思い出されるのはドイツ銀行です。2016年、ドイツ銀行が発行したこのCOCO債が、同行の大赤字示現のため、そのトリガー条項が発動され債券が元本割れになったりこの銀行債を大量に組み込んだ投資ファンドに大きな影響がでるのではないかということで騒ぎになったことがあります。
もともとこの商品は転換社債ですから通常ならば、満期になったときに返済金を現金で受け取るか株式で受け取るかが選択できる商品ものですが、まさかの最悪の事態のときに無理やり株式に転換されてしまったり元本が大幅減免になることをよくわからずにドイツ銀行だから大丈夫であろうとただ看板がけ見て購入した利用者が大騒ぎをしたことがあります。
幸いドイツ銀行は最悪の事態には至らずいまも現存していますから騒ぎは騒ぎだけで終わりましたが、実際には相当リスキーな商品であることは間違いありません。
このCOCO債はドイツ銀行に限らず欧州系銀行が自行の資本増強のためにそれぞれ発行していますから、なにか個別の銀行経営に問題があるたびに大騒ぎになることは確実で、ほかの国の銀行ではもっとリスクの高いCOCO債もすでに大量に発行されてしまっています。
金利の高い債券というのはよほど内容を理解してでないと迂闊には購入できないものであることを改めて痛感させられるものとなっています。