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ブラックスワンとは、金融市場においてあらかじめ予想することができず、おきてしまうとあまりにもその衝撃が大きい事象のことを言います。
これまで白鳥といえばその名のとおり白い色をしているとされていましたが、オーストラリアにおいて黒い白鳥が発見されることにより鳥類学者の学説が大きく崩壊することになったことから名づけられたもので、認識論学者で元ヘッジファンド運用者としての経験を持つナシーム・ニコラス・タレブが、2006年に刊行した著書ブラック・スワンという同名著書でこの考え方を説明したことから一躍有名になったものです。
このブラックスワンの事態が示現しますと、従来の確率論や知見では予測ができないような状況が発生してしまい、その事業が人々に重大な影響を与えることになるといわれています。
最近ではこうしたブラックスワンの理論にもとづいて投資戦略を実行するヘッジファンドも現れるようになっています。
本当に可視化されていない事態というのは意外に少ない
生物の世界や自然現象の世界では確かに人間の知見の及ばないところで突然変異が起きたり、想定外の大規模地震が起きる、大津波が襲ってくるといったブラックスワン的事象が生じることはあるものですが、こと金融の世界で言えばほとんどのことは人為的に起きていることですから、何の兆候もないままいきなり大暴落が起きるといったことは現実にはなかなか起こらないものでもあります。
たとえばサブプライムからリーマンショックにいたる暴落は、そもそも兆候は明らかに見えており、100年に一度の一大事とはいわれましたが、きわめて人為的に起こされたリスクイベントであったことは間違いありません。
したがって、こうしたリスクをいかに早期に嗅ぎわけ、備えていくかという対応のとり方が非常に重要になってくるといえるのです。金融市場における危機的な状況というのは異変に気がついてから本当に瓦解するまでは1年以上時間がかかることもあり、今日の明日で大変な事態になるというわけではないことも意識しておかなくてはなりません。
ただある瞬間からすっかりその変化のことを忘れてしまいますといきなり巻き込まれてしまうことになりますから、常に意識しておくということが必要になります。
これは想像以上に苦痛になりますし、ある種の修行に近い状態になることも考えられます。しかしリスクイベントに巻き込まれない投資家はしっかりとこうした対応を心がけているものなのです。
