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VSA、出来高分析を使ったFX手法

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今回は、Forex FactoryのVSA (tradeguider and VPA converted to MT4) について翻訳してみました。
長年FXのテクニカル分析に力をいれてきた作者(HN:FOREX flash氏)が、オンライン上で偶然見かけたスレッドが「VSA・ボリュームスプレッドアナリシス」と呼ばれるものでした。
そこから研究を始めたものが、このVSAを利用したインジケーターであるとのことです。この方法を利用するためにはまず「VSA」という考え方がどういうものなのかを理解する必要があります。
作者が作成したレポートに書いていますが、内容は「物議を醸し出すかもしれないものの、一方で新しく先進的な戦略として評価される可能性もある」としています。
今回の記事では「VSA理論」についての詳細はインジケーターの説明以上のボリュームが多いため割愛しますが、これは一言でいいますとかなり以前から研究されてきた内容であることは間違いありません。

FX手法概要

手法名tradeguider and VPA converted to MT4
開発者FOREX flash
勝てる?勝てる
取引スタイルスキャルピング、デイトレード
時間足5分足、15分足、1時間足
通貨ペア米ドル円、ユーロ円、ポンド円、豪ドル円、ユーロ米ドル、ポンド米ドル、NZドル円、豪ドル米ドル、NZドル米ドル、ユーロ豪ドル、ユーロポンド
分析手法
その他選択項目Forex Factory
取引市場欧州市場、NY市場ポジション保有時間
FX業者月間取引頻度
エントリー注文成行決済注文指値、逆指値
勝率損益レシオR-
平均利益pips平均損失pips

VSAは出来高分析

VSAとは日本語に訳しますと「出来高分析」になります。このFX手法は簡単にいいますと相場の方向性を予測するために「出来高と価格の間の関係を分析するもの」ということになります。
今回ご紹介する作者のFX手法からは離れますが、出来高と価格を評価する方法として使われているのが、実は皆さんがよく知る日本の「ローソク足」なのです。
国内でローソク足を使って売買している人間にとってみれば、それほど画期的な発想とは思えないわけですが、ローソク足のひげを含めた全体の幅がその時間足のスプレッドになり、実体の上が陽線の場合の終値になり、ひげの上下に伸びた部分がボリューム、つまり出来高を表しているという見方がこの発想の根底にあります。
とにかくひげを含めて時間足の上下の長さが長いということは「出来高が多いことを表している」とされています。また最も高い値と終値の関係をみたときの関係も重視するのがこの考え方です。時間足の終値が価格の上にあるのか下にあるのかも重要であるとしています。
正直なところこれはローソク足がすでに実装している基本機能で、国内でローソク足を日常的に使っているユーザーにとっては別に大した発見ではないと思うのですが、市場では「ジェシーリバモア」「リチャードワイコフ」「トムウィリアムズ」がVSAを発見した主要な人物とされています。

VSAによる分析ツールについて

今回のインジケーターは「アキュウムレーション」、「マークアップ」、「ディストリビューション」、「マークダウン」に注目していくことになりますが、まずはこの4つについてご説明します。横文字になっていると新しく難しい感じがしますが、実は内容は簡単です。

アキュムレーション

アキュムレーションはその名のとおりポジションが蓄積される時期を示しています。日本のトレーダーはほとんど使わない言葉となりますが、正確な日本語の言い方でいいますと「安値圏での調整レンジ」を表しています。
さらに日本語では「日柄調整」などという言葉もありますが、まさにそうした停滞して下がるわけでもなければ上がるわけでもない状態のことをいいます。 
このチャートは必ずしもFXではありませんが、中央部の停滞した時期のことを「アキュムレーション」と呼んでいるわけです。

マークアップ

長い安値圏での停滞をへて徐々に終値が切りあがる状況になってくると、いよいよ相場が上昇するマークアップ(利益が積みあがる)時期にさしかかってくることになります。 
このインジケーターでいきますと安値停滞から上昇方向に動く際に売買ボリュームが増えていくことに目をつけています。つまり持ち合いから抜けて行くときに売買ボリュームが増えることを示唆しているわけです。
下の段のグリーンの買いのインジケーターの色が赤紫に変わったあたりで一旦ピークがやってくることとなるわけです。

ディストリビューション

相場が上昇して高値でもみ合いになり調整局面に入る状況を「ディストリビューション」と呼んでいます。こうなりますと取引ボリュームは減少することになり相場はこう着状態を続けることになります。

マークダウン

ディストリビューションと呼ばれる高値での膠着状態から今度は下落が始まる状況のことを「マークダウン」と呼んでいます。
もちろん高値膠着の後、さらに上昇するケースもありますが、その後取引ボリュームが減少することでピークアウトがわかるということになります。

実際に使ってみました

・この作者が提供するVSAのインジケーターはいろいろなバリエーションがあって最初は困惑しましたが、もっとも新しいものが「バー表示で買いか売りが判るもの、その下に取引ボリュームが表示されるものということになります。
・ある程度長い時間足であれば「チャート上に矢印がでる」のでどこで買いを入れるか、売りがどこなのかはわかります。
・騙しがどのぐらいでるのか?また短い時間足でどこまで機能するのかはいまひとつよく判らない状況です。
・売買のインジケーターに売りと買いのボリュームを加味しているのはなかなか新鮮なものでした。
・あくまで買いと売りのインジケーターということですから、損切りのポイントなどは提示してくれません。自分でルールを決めて、たとえば30pipsの含み損になったら一旦損切りする、直近の安値や高値を超えたら損切りするなどの基本的なルールが必要になります。
・チャート上に緑と赤の矢印がでますのでそれにあわせて売買をしていくということで、実際に使いますとVSAの小難しい部分はまったく意識しないで済みます。

このFX手法のまとめ

バーはローソク足をデフォルメしたようなもので、正直なところ普通のローソク足のほうが使いやすいので、あまり日本人向きではないのではという印象が強いです。
取引ボリュームは顕著にわかりますので、買いが増えているのか、売りが増えているのかははっきり認識できますが、1つ問題なのはこのボリュームは一体どこからとってきている情報なのかという点がはっきりしないことです。
たとえばユーロドルであれば欧米系のプロバイダーから提供される売買ボリュームでも全く問題ないと思われますが、ドル円などの場合にどれだけ正確に表示されるのかは不明です。
作者はVSAの有用性についてかなり厚く文書で語っており、売買ボリュームが実際の相場に大きな影響を与える点についてはまったく異論はない状況ですが、このインジケーターがそれを包括的に網羅した信号なのかどうかについてはよくわからないというのが正直なところです。
通常の平均足の表示にボリュームが表示できるようになっていれば、このインジケーターに依存しなくても取引ができそうな気がして、それほど画期的な印象は受けませんでした。
売買ボリュームと4つの相場のステージを組み合わせているという点はなかなか興味深いものがありますが、もともとボラティリティが少なく、取引量も限られる通貨ペアにはあまり向かないのではないかと思います。
とくに国内で人気である「クロス円」のような架空通貨にはあまり向かないのではないでしょうか。
長く使いこなしたわけではありませんので拙速に評価するべきではないかとも思いますが、ご興味のある方でMT4を使われている方は「ユーロドル」などを中心として使われてみてはいかがかと思います。
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