今回は、イタリアの「Udineさん」のFX手法である、
As simple as possible: 00 level trading(日本語: できる限りシンプルに: 00レベルトレーディング)をご紹介します。2014年6月にForex Factoryへ投稿されました。
末尾が「00」となる値は、きりがよいことでたくさんのFXトレーダーに注目され、レジスタンスやサポートとなることで知られていますが、このFX手法は、「00」でのみ指値エントリーすることが最大のルールであり特徴です。
また、「1日10pipsずつ確実に取ることができれば、FXトレーダーとして充分、成功者となれる」との考え方がこのFX手法の基本です。
トレードのルールを見ると、1回のFXトレードのターゲットポイントはたったの5pis!それでも結果として大きくプラスになっていく実績が多数出ているということで、Forex Factoryのフォーラムの中でも有名な人気システムとなっています。
このFX手法は、有名なアインシュタインの名言のひとつ 「Everything should be made as simple as possible, but not simpler. 訳: ものごとはできる限りシンプルにするべきである。しかし、シンプルすぎてもいけない。」をルールとして考え、作られたそうです。
また、FXトレードへのアクションに対する考え方は「パレートの法則」に基づいており、「20%に集中して取り組めば残り80%の利益も得られて、100%満たせることになる」と説かれています。
とにかく「利幅は狭いけれど、それでも大丈夫なのだ」ということを知ってもらう必要があるからでしょう、スレッドの最初の投稿とダウンロードできる説明資料にはインジケーターの使い方に関することよりも、FXトレードに対する考え方が詳しく説明されています。
あせらず急がず一攫千金も狙わず、確実なところに的を小さく絞ってコツコツと積み上げていくことに注力するFX手法です。
作者の Udineさんは、このFX手法の前にも別のシステムを使って成功しているトレーダーだそうですが、長時間チャートを見続けたのが原因でしょうか、目を悪くされてしまって療養中だそうです。
そのこともあって、長時間パソコンの前に貼りついて目に負担がかかるような作業をしなくてもよいようにと、このFX手法を考え出したそうです。
FX手法概要
手法名 | As simple as possible: 00 level trading FX | ||
---|---|---|---|
開発者 | Udine | ||
勝てる? | 勝てる | ||
取引スタイル | デイトレード、スイングトレード | ||
時間足 | 1時間足、日足 | ||
通貨ペア | 米ドル円、ユーロ円、ポンド円、豪ドル円、ユーロ米ドル、ポンド米ドル、NZドル円、豪ドル米ドル、NZドル米ドル、ユーロ豪ドル、ユーロポンド | ||
分析手法 | ローソク足 | ||
その他選択項目 | 順張り、Forex Factory | ||
取引市場 | 東京市場、欧州市場、NY市場 | ポジション保有時間 | 数分 |
FX業者 | 月間取引頻度 | ||
エントリー注文 | 指値 | 決済注文 | 指値、逆指値 |
勝率 | % | 損益レシオ | R- |
平均利益 | 5pips | 平均損失 | -10pips |
チャート環境
「できる限りシンプルに」とのタイトルがついていますが、「00 level trading」で使用するインジケーターは、最初の投稿のまとめられているものだけでも15種類に及びます。さらにはスレッドの中でその後、オプション的なインジケーターもいくつか追加公開されています。
「シンプル」とは、使うインジケーターやチャート画面の見た目のことではなく、エントリールールやFXトレードに対する考え方のことであるようです。
Udineさんは主に「EUR/JPY」と「GBP/JPY」でトレードするそうですが、通貨ペアのきまりは特にありません。使う時間足は1時間足と日足ですが、日足で確認するべき項目は1時間足チャートにも表示されているため、チャート画面を切り替える必要は特にありません。
具体的なエントリールール
基本ルールは、以下のようになっています。
1.日足と1時間足のローソクが、どちらも同じ色に揃っていること
2.必ず末尾「00」の値でエントリーすること
3.フランクフルト市場がオープンしているとき(日本時間15:00~2:00)に限り、末尾 「.400」「.500」「.600」の値でエントリーしてもよい
4.ロンドン市場がオーブンしているとき(日本時間16:00~3:00)は、どこでも(「.100」~「.900」という意味だと思います)エントリーしてよい
5.「.100」でショートエントリーはしないこと
6. 「.900」でロングエントリーはしないこと
7.重要度が「高」の指標発表やニュースを控えた1時間前からはトレードしないこと
8.重要度が「高」のニュースのあと30分間は、そのニュースに関連する通貨ペアのトレードはしないこと
9.1日で4回損切りになったら、その日はそれ以上トレードしないこと
10.各国の市場オープン直後から2時間ぐらいまでの間は、新しい資金が投入され参加者が増えるため勝率が上がる。特にロンドン(16:00~)、ニューヨーク(21:00~)はチャンス
11.ADR(Average Daily Range 1日の平均値幅)を確認すること。値幅に近い値の通貨ペアでは、その日はもうトレードしないこと
12. BRN(Big Round Numbers 00値のうち特にきりのよい値)からは10pips以上間隔があること(5、6も参考に)
13.1日の目標の利益(アカウントの2%、作者の計算式では100万円の口座なら1日10pips)に達したら、その日のトレードは終了すること
14.ストップロス(損切り)は、10pips
15.ターゲット(利益確定)は、5pips
16.トレイリングストップを使うときは、値幅を3.5pipsに設定する
17.指値注文でのエントリーのみ行うこと
18.ADRの幅が大きい通貨ペアでのみトレードすること
19.作者が主にトレードするのはEUR/JPYとGBP/JPY
20.1時間あたり1通貨ペアで1回のトレードを最大とすること
21.1回失敗トレードをしたら、10回バーピー(ジャンプや腕立て伏せを組み合わせた筋トレのこと。詳しくはググってみてください。)をすること (気分転換のためだと思います。)
■エントリー判断のステップは以下のとおりです。
1.トレンドの方向性に従う順張りのみトレードする。値がその日の始値より上ならロングのみ、始値より下ならショートのみエントリー。
2.値動きはまっすぐには動かない。波をよく確認する。1時間足のローソクの色が日足のローソクの色と揃ったときが、波に乗り始めるべきチャンス
3.ラインインジケーターの00ポイントをブレイクしたとき、直近の00の値で指値エントリーする
(チャートはクリックで拡大します)
フィルタールールや注意点
上記の基本ルールの中で、トレードを避けるべきポイントもよく考えられて解説されています。
なお、過剰なFXトレードをしないとのルールさえ守ることができれば問題にはならないのだと思いますが、利益確定の目安が5pipsであるのに対し損切りは10pipsと設定されているところは注意が必要だと思います。
4回負けて終わった日は-40pisになり、それを取り戻すには8回のトレード、4日必要になることになります。
リプライでどのような議論がされているか
トレードの基本ルールの最後にある、罰ゲームのような「バーピー」についての質問には、「#post 27,561」あたりから面白いやり取りがされていました。
「勝てばバーピーはしなくてもよく、お金持ちになれて女の子にモテる。負け続けると、お金持ちになれなくてもバーピーをたくさんすることでアドニス(ギリシャ神話に登場する美少年)のような美しい体型になれるから、女の子にモテる。」だそうです。作者の考えるゴールはそこなんですね(笑)。
「1日10pips」を確実に取り続けていくための考え方は「PDF (Patience, Discipline, Focus) & BCC (Belief, Consistency, Confidence) 」として「#post 27,751」で解説されています。
パーフェクトなタイミングが巡ってくるまでじっくり待つこと、エントリールールを守ること、視野を広げすぎず一つのシステムで少ない通貨ペアで時間をかけて検証する集中力、自分が選んだシステムを信じ、自分を信じて「できる」と自信を持つことが重要で、これらを一貫して粘り強く続けることが成功につながると説かれています。
このFX手法のまとめ
使われているインジケーターの数が多いことと、チャート画面の見た目が複雑で難しそうな第一印象でしたが、ひと通り説明を理解してから改めてチャート画面を見ると、なるほど、一つの画面で必要なことをすべて確認できる分かりやすいシステムになっていると思いました。
「1回あたり、たった5pips取れればよい」というルールは、「できそう」「続けられそう」な気がしてくると思います。「それ以上は欲張らない」とのルールにさえに納得できれば、エントリーからExitまでは数秒で終わるFXトレードになると思います。
スキャルピングの一種と言えるでしょうか。スキャルピングがお好きな方には1時間足でのスキャルピングという新しいFX手法、またこれまで1回で大きな利幅を狙うFX手法でなかなかうまくいかなかった人には、視点が変わるきっかけとなるかもしれませんね。
このFX手法で使用するインジケーターやテンプレート
最初の投稿の最後に、トレードルールや考え方に関する説明書とインジケーターの最新版がまとまってあります。
なお、テンプレート(*.tpl)はここではなく、「#post 4」の圧縮ファイル内にあります。これがないとこのシステムは動作しませんのでご注意ください。
手順としては「#post 4」のファイルを展開してMT4インストールフォルダ配下にそれぞれ適用したあとに、「#post 1」のインジケーターファイルを展開してindicatorsフォルダ配下に「上書き」保存するとよいと思います。
なお「インジケーター最新版」で増えているインジケーターはAnyCandle、Candle Close Alarm、i-Profit Tracker-Fixed、Time_vLines2の4つですが、先のテンプレートにはこれらの自動表示までは含まれていません。
これらのインジケーターをチャート上に表示させたい場合は「ナビゲーター」ウィンドウから対象のものをドラッグ&ドロップするとよいです。
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