既に日経新聞をはじめとしていくつかのメディアで取り上げられはじめていますが、金融庁はFX取引のうち、これまでハイレバレッジが認められてきた法人口座を個人同様に倍率規制に乗り出す意向であることが報道されはじめています。
具体的な「レバレッジ」倍率は示されておりませんが、通貨ペアごとに設定することを考えているようで、専業ユーザーで高い倍率のレバレッジを獲得するために、わざわざ法人格を取得した方々にとってはかなり残念な動きになってしまいそうです。
規制の理由は2015年のスイス中銀ショック
メディアの報道によれば、2015年1月15日突然永続的な介入をギブアップ宣言したことから市場は大きく下落し、多くの投資家とともにFX業者まで破綻に追い込まれたことに起因しているようです。
確かに「レバレッジ」の高い売買は証拠金をすべて失うだけでなく追証を求められることになるものの、この「スイスフランショック」のようなケースでは「レバレッジ」は25倍であっても同様のリスクがおきており、予めつけておいたストップロスがつかなかったことが最大の原因であって、レバレッジの規制が実現すればリスクが減るわけではないところに大きな問題を感じます。
※下記は規制のきっかけとなった2015/1/15のスイスフラン5分足チャート
○管理人TOMOZOの投資日記より⇒ スイスフラン円20分で約4000pipsの上昇の歴史的相場
NDD方式でもないのに突然カバー先の価格提示不能を理由にあげたFX業者
FX業者にはすべての顧客からの売買オーダーをカバー先のインターバンクなどにつけて、そこに一定のマージンを載せてビジネスにしている「NDD方式」をとっている業者が存在します。
しかし、国内のFX業者の原則固定の狭いスプレッド方式などは、カバー先は利用してはいるものの100%「NDD方式」ではないところがほとんどになっています。
こうした暴落が起きた場合、多くのFX業者がカバー先の「インターバンク」からの価格提示が一瞬消えたことから顧客が設定したストップロスよりもはるかに遠く離れたところで損切りが実行されたことを理由に追証を求めるケースが出始めており、実際2015年1月の「スイスフランショック」のケースでも「追証」をめぐって顧客と業者の裁判が継続しているようです。
一番消費者保護になるのはゼロカット方式
海外では、こうした利用者リスクを低減するためにゼロカット方式をとっている業者が多く存在しています。このゼロカット方式では預託した証拠金が無くなったらそれで取引はお終いで、完全に投入資金内での有限責任で売買を行うことができるのです。
この取引方法では、前述の2015年1月15日の暴落の時も個人投資家は「追証」を免れることができ、その代わりに多くのFX業者が破綻に追い込まれました。
「アルパリ」は国内でも業務を終了しましたが、海外ではこのゼロカット方式を採用していたことが破綻に追い込まれるきっかけとなったのです。(投資家の資金は最低限守られた)
○関連する記事 ⇒ アルパリ破綻!アルパリジャパンの911万円は出金できるのか?
せっかくならば、レバレッジ規制よりもゼロカット方式を義務化していただいた方が、よほど消費者保護になると思うのですが、なぜかレバレッジだけを気にするのが国内の「金融庁」の行政となってしまっています。
世界的に見てレバレッジ規制が厳しいのは日本だけ
FXは証拠金に「レバレッジ」をかけて売買するわけですから、どのような倍率で売買しても常にリスクが伴う取引手法です。
海外ではこの「レバレッジ」については日本のように厳しい規制をしている国はないのが実情で、長年FX取引しているものからすると規制しすぎなのではないかという不満が高まります。
とくに法人格をとって大きな「レバレッジ」で取引をして一定以上の利益を確保してきたトレーダーにとっては死活問題で、海外系の「ハイレバレッジ業者」利用に切り替えるユーザーも多くなってくることが予想されます。
個人投資家についてはある程度の規制はやむをえないかとは思いますが、法人ユーザーにこうした規制による保護が本当に必要なのかどうか、かなりクビをかしげたくなる状況です。
(この記事を書いた人:今市太郎)
※管理人 TOMOZOがお勧めする海外FX業者はこちら