8月24日の相場暴落から一旦はドル円もユーロドルも落ち着いてレンジのような動きになっていますが、実は新興国通貨は結構大変な事になってしまっています。
まず輸出が上手くいかなくなっている所に加えて、資源価格下落が追い討ちとなり、米利上げ予測でドル全面高が進行している最中に、人民元切り下げが行われたことから、対円で見ているとわかりにくいですがドルストレートでの新興国通貨は軒並み上昇しております。
つまり、現在の状況は迂闊にエントリーができない相場となっているのです。
これは想像以上に深刻な状況で、今後米国の利上げが確定するタイミングまでさらに新興国通貨が売られる可能性が高まっているといえるのです。
以前に「どん底で買えばスワップポイントが取れる」のではないかという記事を書きましたがその底値がまだ見えない状況が続いており、安易には取引出来なくなってきていることがわかります。
想像以上に厳しい状況のトルコ
エルドアン政権は6月の選挙後過半数を割ることとなり、その後連立内閣を樹立できないことから、トルコは11月めどに総選挙という混沌とした政治情勢が続いています。
またISISから首都イスタンブールを狙う声明が出ており、シリアとの国境では本格的な戦闘状態に入っているようで、国内でもテロが頻発しています。
あらためて地図を見直してみるとシリアにもイラクにも隣接しており、地政学リスクは尋常ではないレベルがトルコの置かれている状況となっているのです。
既に「ドルトルコリラ」では3.0という未曾有の価格帯に到達しており、このレベルを抜けるのは時間の問題となってきています。
トルコリラで考えますとクロス円通貨であり、ほとんど流動性がありませから、一旦売りが出ると個人投資家のストップロスを巻き込むことでさらに下押しするという悪循環を形成する可能性が高く、現に直近の下げではそうした動きが顕在化してきています。
ドル円の動き次第ではTRYJPYはさらに下がることも予想されており、相当我慢強く持ち続けないとスワップ金利だけでは持ちこたえられない状況が近づいていることがわかります。
またトルコの市場からは資金が大きく逃げ出していますので、対ドルでトルコリラが上昇したり持ち直したりする可能性は足元ではかなり低い状況になっています。
スワップ狙いで考えるのならもう一泊待つのがお勧め
5月にくりっく365でトルコリラ円が上場して以来、多くの日本人投資家が1日1万通貨で120円超のスワップ金利の獲得をめざして買い持ちしてきている状況にあります。
もう一段下値を模索するとなれば、かなり底をしっかり確認しませんとスワップの利益では穴埋めにならないほど原資を減らしかねない状況になっっており、かなり注意が必要です。
テクニカルチャートだけでは判断できませんが、底値はまだまだ下の可能性が高いともいえます。
厳しい状況が続く南アランド円
利上げによりスワップポイントとしては大きな魅力の残る南アランドも、金価格の下落に加え、原油価格の大幅下落もボディブローのように効いて来ている状態が続いています。
またドルの利上げにより資金流出も続いており、足元ではスワップ狙いで買い向かえるような状況ではない相場が続いています。
こうした高金利の新興国通貨は米国の利上げが確定するまではさらに下落する可能性が高まっており、適当なレベル感だけで勝負するのは相当なリスクを伴うことは覚悟をしなくてはなりません。
もちろんレバレッジを下げるといった対応も有効ですが、本来であれば底値をしっかり確認してからでないとエントリーが難しそうです。
少なくとも9月についてはあまり参入のいいタイミングには見えませんので、もう少し待ちの体制で臨むことがお勧めとなりそうです。このままですとどちらの通貨も想定を超える下げに直面する可能性が高まっているといえます。
(この記事を書いた人:今市太郎)