118円割れまで下落したドル円は、結果的になんとか118円割れを食い止めて120円台まで戻しましたがこちらも株価が上昇してもそのまま抜けていかない状況に陥っています。
どうやらオプションの存在が、その動きを大きくけん制してしまっているようで、月末まではまともに動かないのではないかといった観測が出始めています。
118円ジャストにはダブルノータッチオプションが存在した
三角持合を一旦確実に抜け出したドル円は118円割れぎりぎりまで下落しましたが、結局割れることなく元に戻ることとなってしまいました。
このレベルではかなりの日本人個人投資家が買いを入れたことが「くりっく365」や店頭FX各社が開示している売買動向を見てもかなり明確に買いが積みあがっていたことがわかります。
(図は外為どっとコムの15日における売買動向)
さらにこうした状況に加えて、猛烈な防戦が行われたと見られるのが118円にあったとされる「ダブルノータッチオプション」と呼ばれるエキゾチックオプションの存在です。
そもそもこのダブルノータッチオプションとは?
この「ダブルノータッチオプション」とは、一定期間中に想定レンジを一度も外れなければ利益を得られる仕組みで、こうしたものが設定される背景には、今後もこう着相場が続くとの市場の読みがあることは間違いありません。
下方向が118円で上が122円なのか123円なのかはわかりませんが、上も下も設定期間中に一度もつけなければ、購入したプレミアムのほぼ10倍から15倍の金額を受け取ることができるように設定されていますので、今回下値ではかなりの防戦買いが入ったことは間違いないものと思われます。
こうしたオプションの売買が「ファンド勢」により積極的に行われるということは、オプションの設定期間は上下ともに抜けない事を想定している市場参加者が多いことを示しており、仮に118円近辺でポジションを作ることができたとしても、この先大きな利益を獲得できる可能性がないことを示唆しています。
ドル円120円にはなんと9ヤードのバニラオプション設定観測も
一方、120円台まで戻したドル円は日経平均が300円以上、上昇した21日でも120円を大きく抜けることができずにその上下をうろうろする状態になっています。
FX関連ニュースの情報によれば10月末のNYカットでエキスパイアする「バニラオプション」がなんと9ヤード(90億円)存在するようです。
こちらは「プレーンオプション」であるため、そのジャスト設定金額でとまることはありませんが、プットをもっているにしてもコールをもっているにしても120円を超えれば売り戻して119円台に押し下げ、119円台ではまた買いを入れて120円超えを狙うことになりますので、売り買いが上下にでて最終的にはオプションが消滅するまで120円に張り付く形で膠着することが考えられるのです。
実際20日からのドル円の動きはまさにこの状態で「FOMC」や日銀の政策決定会合で何も出なくてもこのオプションがあるかぎりは、120円ジャストに戻ってくることが考えられる状況となっています。
さらに膠着感に輪をかけるヘッジファンドのアルゴリズム逆張りトレード
今年為替でもほとんど利益がでていない「ヘッジファンド勢」は「レンジ相場」が年末まで続くと決め込んでいる模様で、こうしたオプションと連動するように上下かなり狭い範囲で大量の資金を使った「逆張り」のアルゴリズムトレードをしているという話が相場の各所からもれ伝わってきています。
一回の利益が少ないだけに投入する枚数を相当数増やしていることだけは間違いないようで、こちらも相場の膠着に一役買っているようです。
注目は10月31日午後11時以降の動き
すべてのオプションのエキスパイア設定がNY時間というわけではありませんが、NYカットが多いことは事実で、9ヤード残っているといったバニラオプションが10月31日の日本時間午後11時に消滅したときに、相場がどう動くことになるのかが注目されます。
しかし、こういうタマが次々登場するということ自体、市場がドル円の大きな動きを想定していないことを示唆するもので、どうにも投資妙味の低いものになってしまっていることだけは間違いない状況です。
年末に向けてもうひと稼ぎしたいトレーダーにとっては通貨ペアの選定を再考すべき時期にさしかかっているかもしれません。
(この記事を書いた人:今市太郎)