日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の郵政3社のIPOが11月4日にいよいよ迫りましたが、これが株式市場下落の芽になるとの懸念が浮上しはじめています。
これはNTT株の上場の際やNTTドコモの上場の際にも見られたことですが、今回も大型上場だけに気をつけなくてはならない時期にさしかかっているといえるのです。
ポートフォーリオ組み換えで悪影響は必至か?
今回の郵政三社の上場で第一回目の市場売り出し額はほぼ1兆4000億円強になると見られていますので、全く新規の資金が投入されない限り市場から資金捻出が行われるのは必至で、それだけの相当額の株が売られる可能性が高まっているというわけです。
とくに投資ファンドは「ポートフォリオ」を見直しして同セクターの株を売ってゆうちょ株に買い換える可能性が高く、中国景気の減速懸念でTOPIXが下がったばかりの上場タイミングに市場がどう影響を受けるのかが注目ポイントとなります。
3社の業種別分類は日本郵政がサービス、ゆうちょ銀は銀行、かんぽ生命は保険ですから、この業界で売り込まれる日経225、もしくはTOPIX銘柄も多く、郵政三社が買われても株価指数は下落する可能性が高いというわけです。
過去の大型IPO後の日経平均の動きを見てみますと、バブル期真っ只中のNTT上場時は、その後もなんのお構いもなく市場はどんどん上昇することになり、多くのお金が株式相場になだれ込んで全く問題がなかったことを示しています。
しかしNTTドコモやJR東日本などは上場から10日ぐらいまで総じて株価は下がり続け、場合によっては一ヶ月程度下落が続いたケースもあったようです。
もちろん相場自体の地合や各国の経済情勢など影響を与えていたのはIPO株自体だけではない可能性がありますが、大型IPO後にいきなり市場がするする上昇した経緯がないことだけは間違いなく、為替のサイドから見た場合にドル円などが下押ししたときには、上手く買い拾う事が年末までの利益確保にプラスに働きそうな気配となってきています。
東京市場では株の下落は為替の下落に
株価との連動感の強い「東京市場」では日経平均が下がれば、ドル円も下押しを余儀なくされるのは間違いなく、見方によっては絶好の買い場がやってくる可能性も否定はできません。
30日の東証も日銀の政策決定報道後下げた相場の局面で、リアルマネーのまとまった買いが入ったことから日経平均は1万9000円台を回復することとなり、ドル円もそれにつられて121.500円レベルまで買いあがるというやりすぎの構造が示現する事となりました。
あくまで銘柄の入れ替えということですから本質的な相場の下落とは意味合いが異なりますが、少なくともこれまでは大型株の上場によって株式相場が淀む瞬間があったことだけは事実であり、6日に迫る米国の雇用統計とともに下押し材料として注意をしておく必要がありそうです。
下落や上昇に必要以上に反応
どうも投資ファンド関連のアルゴリズムが余分なことをしているのか、10月末からの「ECB」「FOMC」日銀といったイベントの結果を受けて想像以上に相場が大きく動く傾向がはっきりとでるようになっています。
ひとつの方向に動きはじめると同じく買い上げたり売り浴びせたりする相場が連日続いています。
そうでなくても「ロンドンタイム」から先というのは、相場は「オーバーシュート」気味に「順張り」で動きやすくなりますが「ECB」の追加緩和観測も「FOMC」の12月利上げ検討の話も、その内容だけではそこまで大きく相場が動かないだろうと思われるところに乗っかってくる「投機筋」が非常に多くなっている印象を持ちます。
11月末が決算の「ヘッジファンド」が多いですが、その一部は12月決算でもあるため、顧客からの解約云々に伴う45日ルール以前にもっと金を稼がなくてはならない断末魔のファンドが、あらゆる手段を仕掛けてきていることだけは忘れてはならない状況です。
(この記事を書いた人:今市太郎)