※注 本記事は、12/2 10:00 に執筆されたものです。ユーロの動きをピタリ当てています。
(投稿が遅れまして申し訳ありません。管理人:TOMOZO)
いろいろ為替の専門家とお話すると、なぜ、このような方々がユーロは弱いと断言されるのかがイマイチよくわからない。その専門家の言い分というのは、一様にユーロ経済は悪い。
その上、「フランスでのテロ」「ドイツのフォルクスワーゲン問題」「シリア難民の問題」等を挙げるのです。
これは、私が以前に述べたように、今のユーロドル相場の水準はほぼ基準値にパリティーの状態になっておりこれ以上売られる余地があまりない。仮にユーロがめちゃくちゃに悪い状態になっても、おそらくここから下がってもほんのわずかになると思っています。
今年の前半、ユーロドル相場は1.3のレベルから1.04まで売られたのは「金融緩和」によって売られたものであることには誰も異論をはさむ余地がないと思います。
さて、今回、これを書いているのは12月2日になりますが、明日、「ECB」の「金融政策決定会合」が開かれます。事前予想ではほぼ間違いなく緩和は実施されるだろうとの観測によって大きくユーロ相場は売られています。
まず、今年前半と、今回の緩和と大きく違うのは基準値からの乖離が実際の相場がほぼ同じことが挙げられます。
今年の前半は、1.32から、1.04まで売られたのは現実のユーロ相場が基準値から大きくかい離していたことが原因ですが、今回は基準値が1.05になります。実際の相場と大差のない水準からのスタートとなります。これで本当に売られるのか、というのが問題です。
もちろん、マーケットですから実際の基準値よりも大きく売られる場合もありますが、その場合、上記の専門家がいうように、ユーロドル相場がパリティーを割ってしまった場合はアメリカよりもユーロ圏の国力は下という評価になります。
ここが、私の一番自信のないことですが、でもアメリカの国力をしのぐことができなければユーロを結成している意味がなくなる、ということです。
ギリシャなどは単一通貨ユーロを離脱すれば簡単に経済の復興は測れるのをしないのは、ユーロ離脱を許さないというプライドとメンツの問題ということがよくわかります。
マイナス金利の現実をよく考えてほしい
自分の貯金が100万円あったとして、マイナス1パーセントの金利ということは年間1万円ずつ貯金が減っていくという問題があります。
せっかく、将来のためや予期せぬ事故や病気のために貯金をしていても、それが減っていくというのをみなさんはどう感じますか?
それだったら、その貯金を使おう、ないしは、その税金から逃れるために資金を逃避しようという行動に出ると思います。その場合の適切な投資はおそらく少額でもできる「株式投資」になると思います。
ですから、ユーロ圏内の株式はみな、買いになって当然になると思います。また、可処分所得が多い富裕層はどういった行動にでるかということを考えてみてください。
「リーマンショック」や南欧債務危機をへて富裕層はスイスやオセアニア等に資金を逃避させました。
その結果、新興国経済の活性化やスイス金融当局によるユーロスイスの無制限介入などが行われたのです。今回はどのような行動に出るでしょうか?実際にユーロオージーなどの相場を見ているとユーロの資金流出が顕著になっています。
ユーロ経済は回復、今後成長する可能性が高い
もう一度考えてください。ユーロが「金融緩和」の第二回目を行うということは、ある程度ユーロ経済は回復しているからその成長を助けるために追加の緩和を行うと考えるのが常道です。
第1回目の緩和が失敗であったら2回目の緩和などあり得るわけがありません。つまり、これから経済は成長する可能性が高い、つまり、海外に投資もするが、国内の安い株式や事業を買い占めるチャンスでもある。
しかし、国内には現金をおいておくということは損になるので現金はなるべく海外においておきたいと考えるのが普通です。と考えていくと、今回の追加の緩和で「キャピタルフライト」という現象、すなわちユーロ安という現象は大きく起こらないと簡単に予想することができます。
第1回目の緩和では猫も杓子も海外に資産を移動させましたが今回はそれほど起こらないと思います。ユーロ圏内では今回、「消費者物価指数」がマイナスということで追加の緩和を決定すると思いますが、基準値、経済の原理原則でいえばユーロ安は大きくは起こらないだろうな、と考えています。
(この記事を書いた人:角野 實)