ドル円がわずか10円しか動かなかった2015年ですが、主要通貨ペアであるユーロドルは1730pips程度上下に動くこととなり、しかもその上下はめまぐるしく展開することとなりました。
利益という点から見ると、やはりユーロドルを手がけることが非常に大きな利益に繋がった事を示現した結果となっていることがわかります。
中央銀行の政策は間逆にもかかわらずパリティは目指せなかった2015年
2015年は年初からFedが利上げをもくろみ「ECB」は「量的金融緩和」をスタートさせましたから、明らかにユーロは下落するものと誰しもが想定していました。
しかし、緩和措置が発表になる3月に15年来の最安値となった1.04523をつけてからは8月に1.17まで戻す局面もあり、つい最近の「ECB」の追加緩和期待で1.05に迫るまでは意外にも大きく下落せずに推移することとなりました。
これはひとつには低金利によるユーロ「キャリートレード」が定着化しており、資金調達として定常的にユーロが買われることが多くなっていることが大きな原因であり、今年「8月24日の中国起因の大暴落時」にもユーロだけは、大きく買われることとなってしまいました。
しかもこの3月の1.04台は15年来の底値をつけた可能性も高く、2016年にむけては逆に1.18レベルまで戻る可能性さえでてきているのです。
本来金利差が為替の動きを決めるはずですが、実際の相場では「実需」の動きも重なって必ずしも単純にユーロ安ドル高にはならないことを、まざまざと示す相場になってしまったのが2015年といえます。
12月3日の政策発表ですっかり市場の信任を失ったドラギECB
また一方的なユーロ安の流れを止めることになってしまったのが12月3日の「ECB」の政策決定となったのは言うまでもありません。
事前に市場の期待を煽りすぎた結果、想像をはるかに超えるショートカバーを示現させてしまったことは事実で、すでに「ドラギ」マジックが市場で通用しなくなったとの厳しい見方もではじめています。
なによりドイツ連銀が強行に「金融緩和」に反対していることも明確になってしまい、これ以上の緩和措置が簡単にいかないことも示唆してしまったことが、継続的なユーロ安方向の動きにならないファクターとして機能する可能性もでてきているのです。
年末年始一旦1.1レベルで抑えられたユーロドルはその後1.12を試す?
12月3日のウルトラショートカバーでかなりショートポジションが切れましたが、長期のユーロ売りは継続中で、しかも1.1レベルに新たなショートが形成されたことから、このあたりで一旦ユーロはとめられることになりそうです。
しかしその後は反転してとりあえず8月24日から12月3日の下げのフィボナッチ61.8%戻しである1.12を試し、さらに2014年からのユーロ安に対する38.2%もしくは61.8%戻しを試しに行くとすれば、1.18から1.26への戻りを2016年中に試すことになる可能性もでてきているのです。
特にドルに関しては今後4回程度の利上げが想定されていますが、これが頓挫すれば明らかにユーロの買戻しがでることになり、上昇スピードが速くなることも想定されます。
今年と同様の値幅がユーロドルに示現した場合1700pips上の方向となればまったく可能性のない話ではないことはよく理解できます。特に最近の相場の暴落局面では最もユーロが買い戻されるという動きもこうした流れの可能性を高めているといえます。
主要な通貨ペアの中ではユーロドルがもっとも難しい動きをしており、しかもユーロドル主導で動くことからほかの通貨ペアにもかなり大きな影響を与える存在となっていることは間違いありません。
たとえドル円やユーロ円の取引するにしても、ユーロドルの動向が把握できないと2016年は上手く利益を確保していくことができなさそうな様相となってきています。
ただしギリシャ問題やUKの離脱問題など先送り事項は満載
とはいうものの、2015年大嵐になった「ギリシャ問題」は単なる先送りに過ぎませんし、「UK」の離脱話も残されており、移民の件でも大揺れになっている「EU」域内の問題は依然山積していることも忘れてはなりません。
いずれにしても2016年はユーロドルにとってはかなりむずかしい取り引きを余儀なくされそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)