これまでこのコラムでもいくつかご紹介してきましたとおり、2016年は上昇ファクターよりも下落に結びつく不穏な要因の方が遥かに多いのが特徴の相場状況となってきています。
しかしこの下落要因というのは、「ファンダメンタルズ」的に認識することはできても、いつ下落するかを正確に当てることは極めて難しいものになります。
特に日々のトレードでは下落ファクターが多いとわかっていてもいつ暴落があるかはわかりませんから、相場の流れでロングポジションをとることも多くなり、常に下落を怯えているわけにはいかないのが実情となります。
しかし大幅な下落はロングでこつこつ利益を上げるよりも短期間に爆発的な利益を確保することができるため、うまく対応ができればこんなにおいしい取引はないともいえるのです。
今回はそんな相場の天井感をどう探るかについてお話してみたいと思います。
ドル円ではエンベロープの+2σとRSIが有効に機能
通貨ペアによって有効に機能するテクニカルツールは微妙に変化することになりますが、多くの国内トレーダーが手がけているドル円では、日足で13日移動平均を利用したエンベロープの+2σのラインというのは年間を通じて高値になりやすく、滅多なことではこれを飛び出ることがないことがここ1年の動きから検証されています。
+1σではそれ以上に飛び出ることがある可能性はかなり高くなりますが、+2σに到達したら「ストップロス」をおいて常に売りを入れてみるというのは下落局面には効果を発揮しそうです。
またRSIを並行して利用し70%超の場合には買いすぎとみておくと、この二つのテクニカルチャートだけでもかなり下落局面に機能するものとなるのです。
2015年までは官製相場でやたらと下値で買い支える向きが多かったためショートにこうしたテクニカルチャートを利用するのはあまりうまくいきませんでしたが、2016年は下落局面がかなり想定されるため、うまく設定すれば大幅下落の利益を確保することも夢ではなくなりそうです。
ボリンジャーバンドやRCI、標準偏差「ボラティリティ」を使っても判断できるのであれば、それで十分ともいえます。重要なポイントとなるのは、トレーダーが自身の判断でこうした上限ポイントの成否を見分けることができるかどうかにかかっています。
だれかの判断ではなくあくまで自分で判断できるかどうかが最大のポイントになるのです。
様々なテクニカルチャートは売買シグナルを発してくれるものですが、それを自分の目で見て納得して売りポジションを持てるかどうかが大きな判断要素となるのです。うまく取り引きのできているトレーダーはかならずこうしたツールの利用方法をもっているものです。
上のチャート意を見ていただければわかりますが、2015年1月15日や8月24日の暴落ではこのエンベロープの-2σをはるかに超えるほど相場は下抜けています。
しかし上限は+2σを抜けることがほとんどなく、ドル円相場には暴騰というのはほとんど起こらないことがわかります。暴落、もしくは大幅下落相場でポジションをもてるかどうかはこうした天井部分での逆張りの仕方にかかっていることがよく理解できます。
売りで大きな利益を上げるトレーダーは売り専門になることも
巷には「売り坊」などと呼ばれる売り専門のトレーダーも結構多く存在します。
それは売りが非常に短期間に大きな利益をもたらしてくれるからで、一度味をしめたらやめられなくなるからという話もあります.が、こうした動きは下落局面が近づくときだけに利用できるものですから、四六時中ワークするわけではありません。
ある意味で2016年はその特別な年になる可能性がでてきているというわけです。
とにかくこうした売買で重要なのは誰かが言い出したから売ってみるのではなく、自分の判断で売りのタイミングを見計らうことができるようになることです。そのための鉄板ツールを見つけることができれば実に百人力ということができるのです。
(この記事を書いた人:今市太郎)