ドル円は米国の原油在庫が予想外の減少となったにも関わらず、「イエレン議長」の議会証言を受けて大きく下落することとなりました。
すでにこの原稿を書いている段階で113円の初頭にさしかかっており、この先どこまで下落するのかが大きな問題となってきています。
2月に入ってからもドル円と「日経平均株価」は集中的に売りを浴びていますので、たとえテクニカルツールで底値と判断できても安易な逆張りは命取りになりそうな状況です。
20ヶ月移動平均を明確に下抜けて下落トレンド入りのドル円
毎回取り上げておりますドル円の20ヶ月移動平均線は明確に下抜けてしまい、よほど回復することがない限り2月はこのまま下で推移することは間違いないものと思われます。
また短期的にはドル円はボリンジャーバンドのマイナス2σの外側で売買されていますので、実に異常なほど下落にさらされていることがわかります。
「アベノミクス」とやらは日銀による金融抑圧以外には何もしていませんから、何のことを定義しているのか個人的にはよくわかりませんが、2012年末からの上昇トレンドのことをそう呼ぶのであれば、それは、「既に終了した可能性が高い」といえそうです。
105円方向への下落は明確なるもそのスピード感が問題
ドル円は114円台以降は特に大きなサポートラインがないだけにフリーフォールに入り込んだのではないかと心配する向きも多いですが、113円台はフィボナッチ的にはいくつかのポイントを抱えており、これが有効に機能するのであれば一旦は戻りを試して多少の時間調整をしていくことが考えられます。
ただし3月に日銀が量的な追加緩和を連続で行ったとしても、このレベルからですと118円台に戻ることすら難しい状況ですから、戻りの中の最良のポイントでいかに戻り売りできるかが桜が咲く前の為替ディールの最大のポイントになってきそうです。
相場下落の雰囲気は2008年のリーマン時に似てきている
テクニカル的にサポートラインが感じられると個人投資家などは果敢に買い向かうことになるため、その後想定外の下落が続くと何度もやられる形となり、ストップロスを置いておいても損失は加算することになります。
これは「リーマンショック」前後にも見られた光景で、買い向かうたびに損失が増えるという典型的なディールでした。また株価では追証が発生することがあるため、意に反して強制ロスカットを食らうこともありますし、自主的に投げざるをえない状況が頻発しはじめます。
こうした動きが大きな流動性パニックを呼ぶことになるわけですが、これまで官製相場では下値で買い支える様々な「PKO」の存在があったものの、今年に入ってからは「GPIF」もかんぽもまともには登場してこなくなっていますので、既に日本株とドル円は投機筋の目の仇になり、ほかのどの国よりも下落幅を広げる形となってしまっています。
この下落トレンドが明確に終わるまでは相場が戻ったら丁寧に戻り売りをして、多少売り上がることも覚悟で市場に臨むことが必要になってきているように思われます。ショートが溜まり過ぎれば必ず戻りを試すのが相場ですが、それは下落が収まったわけではないことを肝に銘じるべきです。
年初を思い出してみてください。120円台中盤だった相場は足元では113円台中盤を下回っており、すでに7円下落しています。これを一時的で単純な下落局目と捉えたのでは説明のできないことがチャートには様々に現れ始めています。
トレンドが明確に変わらない限りは、底値での安易な逆張りはよほどのスキャルピングでないかぎり、底抜けに巻き込まれる可能性が高くなっています。
これはドル安に円高が加わってきていますので、事実上架空通貨でもともとの流動性が決して高くはないクロス円の取引も十分に注意が必要となりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)