週明け15日の東京市場はようやく株が底を打ち1200円程の大幅反騰となったことから、ドル円も114円を見る展開となりました。
しかし、その一方で先進国中央銀行の金融緩和政策に対する信任がかなり揺らぎ始めていることも確かであり、果たして3月の各「中央銀行」の動きが本当に相場回復につながるのかどうかかなり微妙な情勢となってきていいます。
ベストシナリオは米国利上げ延期、日欧中央銀行追加緩和だが・・
3月の各国「中央銀行」の対応として注目されるベストシナリオとしては、米国「FRB」が利上げを見送り、「ECB」と日銀がさらなる追加緩和を行うことで株価が大きく持ち直し、それを受けてドル円も上昇、ユーロドルは「ECB」の期待通り大幅下落の動きとなることです。
しかし、こうした動きは昨年までのものであり、年末から年明けにかけては、すでに追加緩和で相場が「中央銀行」の期待どおりの動きを見せなくなってきているところが大きく危惧されます。
まず12月3日の「ECB」の緩和は、結果としてユーロドルの大幅なショートカバーを引き起こすこととなり、ユーロドルは350PIPS以上の大幅な戻りを試しました。
また、1月の理事会での緩和示唆や15日の議会証言での「ドラギ総裁」の緩和発言を受けても、1.11台に留まっており、まったく大きな下落をしない状況が続いています。
また日銀も「マイナス金利」を発表したにも関わらず、なんとかプラスに働いたのはたった2日で3日目にはドル円は大きく下落しはじめ、2月11日にはあっけなく111円すら瞬間で割込むほどの下落を示現することとなりました。
既に「中央銀行」の追加緩和を市場はそのまま好感して相場を戻す動きをとらなくなってきており、「ECB」にせよ日銀にせよ、次回追加緩和を出せば材料出尽くしで、またしても下げの局面入りすることも考えれる状況です。
また米国の利上げ延期も2月10日の米国議会での「イエレン議長」の発言を受けた相場の反応を考えれば、利上げをしなければ株価が上昇すると単純に想定できなくなってきていることがわかります。
中央銀行主導のバブル相場は既に賞味期限切れか?
足元の相場の流動性危機という状況を見ていますと、明らかに日欧米中央銀行が連発してきた「QE」の副作用が市場に現れていることがわかります。
「QE」は莫大な資金を市場に投入することにより、これまでにないような市場流動性を提供しているのにも関わらず、実際の個別金融相場では市場の流動性が大幅に低下し、次々と流動性パニックを引き起こし大きく下落する相場状況が相次いでいます。
また「中央銀行」が人為的に価格レベルを操作しようとする作られた相場のおかげで、市場参加者は大幅に減少し、これがまた流動性の枯渇に拍車をかける結果となっています。
さらに株と商品相場が大きく痛んだことから債券市場も思わぬバブル状態が到来し、完全に健全な機能を失う状態となってしまっているのです。
年明け相場下落の大きな要因は中国と原油と言われてきましたが、実は米国「FRB」をはじめとする中央銀行の政策決定が相場をコントロールできなくなっただけにも見えてくるわけです。
中央銀行バブルの崩壊はその兆候がわかりづらい
相場の下落というのはなかなかその兆候をはかり難いのがひとつの特徴となっていますが、とくに「リーマンショック」以来「中央銀行」が繰り広げてきた人為的な相場のコントロール、つまり「中央銀行」バブルはその終焉を見極めることが難しく、実はすでにこうしたバブル相場は下落局面に入りこんでいる可能性すらでてきているのです。
よく「ゆでガエル」の話がでてくることがありますが、まさに中央銀行主導のバブル相場はそれに近いものがあり、気がついたら知らぬ間に崩壊している可能性すら疑う必要がでてきているのです。
「リーマンショック」の場合は、民間の金融機関がしでかしたことを「FRB」を始めとして「中央銀行」が引き受ける形で決着がつきましたが、今回のような中央銀行が主体で作り出している計画的な相場の崩壊が現実のものとなった場合には、当該国の国民の税金で負担するか、ハイパーインフレを起こして債務を帳消しにする以外には、有効な処方箋がないといわれています。
2月に入ってからの株と為替の下落は一部のファンド勢の仕掛けが入ったことも確かですが、大局的には相場がすでに「中央銀行」の繰り出す政策に疑心暗鬼になり始めており、その信任が揺らぎ始めていることが大きな原因ともいえます。
特に3月に再度日米欧の中央銀行から揃う政策を受けて相場が果たしてどのように反応するのかについては、まったく逆方向の想定をしておく必要が出てきているといえそうです。
ドル円やユーロドルはこうした政策決定を受けて大きく下落、上昇する可能性もあり、暴落相場のはじまりとなることすら想定しておく時期にさしかかっています。
(この記事を書いた人:今市太郎)