2月11日に怒涛の下落を経て何とか週明け114円台まで回復したドル円ですが、114円後半を試しにいき、その重さをしっかり確認してからは113円台に下落する事となりました。
週後半からは112円台での動きとなり、完全に日経平均とともに二番底をゆっくり試しにいく展開となってきています。果たしてこの二番底とはどこまでのレベルのことを言うのかが気になるところです。
過熱感のある下げではないものの確実に値を下げるドル円
18日のNYタイム終盤まで113.600円レベルにあったドル円は、相場の薄くなるアジア・オセアニアタイムにいきなりストップロスを付けに行く動きとなりました。
ロンドンタイムでも下値攻めを行いましたが、結局NYタイムで112.500円を割込んだあとは短期筋からの売りに押されて112.300円にまで下落する展開が続きました。
週末前にドル円を保有したままにしたくないと。いうリスク排除の動きが出た事も、こうした動きに拍車をかけていると言えます。
週末にまったく114円台を維持できなかったドル円は、112.50-60円にあった比較強いサポートラインも割込み、その下となると112.100円と111.300円にある下値抵抗線の強さを試しに行く動きとなりそうです。
「二番底」とはいいますが、111円台初頭まで下げれば2月11日の下落とほとんど同じレベルにまで落ちることになりますので、果たしてそのレベルから上値を試しにいけるのかが問題になりそうです。
何も考えずに大きく戻したら売り向かうのがドル円で儲かる相場
短時間に大きく下落したあとだけに、それなりのショートカバーを想定したドル円ですが、結局2015年長きにわたって語られた黒田シーリングの115円やトヨタの想定レートとされた115円という下値ラインがここ来て猛烈な抵抗線として機能することになっております。
来週末からのG20で何かの共同声明や行動がでるかどうかぐらいが、唯一の上昇期待材料となりつつあります。そもそもG20での声明や統一行動で為替の流れが変わったことはここ数年の動きをみてもほとんどありませんし、ドル高を望まない米国にとって、ドル円の下落は大きな問題ではありません。
また、さらなる緩和でユーロ安を演出しようとする欧州勢にとってもユーロ円から考えて、ドル円を再浮上させることに積極的になる訳はない状況です。
日本政府としては「アベノミクス」が終焉してしまうと大変だから助けてほしいと懇願するぐらいしか手立てがないのが現実のところで、G20で何も出なければ29日に再度大きく下値を試しに行くことも想定されます。
果たして2月26日段階でドル円がどのあたりのレベルで週を終えることになるかが問題ですが、このタイミングで110円をあっさり割れれば・・桜が咲く前に100円台の攻防戦が始まることも覚悟しなくてはならないレベルに差し掛かってきています。
黒田バズーカ2前夜を考えればドル円106円もまったく違和感のないレベル
「日経平均株価」は為替を見ながら推移しているように見えますが、こちらも1万6300円台はかなり重く、乗せかかっては下落するという展開が続いています。
足元の「EPS」と「PER」から見れば1万5000円台の中盤は既にフェアバリューになっており、決して低くないのが現状です。
年末に米国が利上げしたことからドル高というイメージが色濃く残っていますが、実際の状況をみますと年初からドルは下落しており、今年はドル安というのが間違いのない方向感になりつつあります。
直近のドルインデックスは97を維持できなくなってきており、ドル安は97と93のレンジで展開されそうな動きとなってきています。
日米欧の「中央銀行」の信任レベルが急激に低下しつつあることが、為替相場にも大きく影響しているように見えますが、実はこの「中央銀行」バブルは一旦終焉してしまい、今は既に下落の途上にあるのではないかとも思わせる相場状況が続いています。
ここ2年間、ドル円は下落相場を逆張りで拾えば必ずなんとかなる展開が続いたので、多くのトレーダーがその動きに慣れてしまっていますが、一時的な下落ではないと見ると「下落相場は下落についていく」というトレーディング発想を取り戻すことが重要になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)