1月に引き続き2月におけるドル円の大幅下落と、ユーロドルのユーロ安傾向を受けて、その掛け算通貨である「ユーロ円」がここへきて大きく値を下げ始めています。
すでに124円台前半にまで落ち込んだユーロ円は、現在のドルストレートの動きから考えた場合に、この春先さらに値を下げることが想定され、110円台も視野に入ってきていることから久々に大きなディールの狙い目が近づいている状況です。今回はユーロ円の先行きについてみていくことにします。
大きく揺らぐドイツ経済はユーロの重し
昨年12月3日の「ECB」の緩和以来、大きくショートカバーを示現してしまったユーロドルは、もはやパリティから極めて遠い存在として位置するようになっていますが、ここへ来てまたしてもユーロ安傾向が顕著になり始めています。
世界最大級の優良企業と思われてきた「VW社の不正問題」や、55兆ユーロものデリバティブ取引をかかえ信用不安が囁かれる「ドイツ銀行」、そして移民政策の失敗からもはや政治的にお終いと見なされ始めている「メルケル首相」など、ドイツをとりまく状況は想像以上に悪化しており、DAXは日経平均とともに売り込まれる状況に陥っています。
「キャリー通貨」としてのユーロへの需要は強いものの、「マイナス金利」は日本も導入していることから、これまでのようにキャリーといえばユーロというわけにもいかなくなってきていることが、ユーロの状況を変化させつつあるようです。
UKのEU離脱問題もボディーブローのようにユーロに効いてくる状況
EU首脳会談での「UK」案支持を受けて一旦は大幅上昇したかに見えたポンドにおいても、ロンドン市長の、「ボリス・ジョンソン氏」のEU離脱支持報道を受けて、大幅に下落しており、少なからずユーロもEU圏としてUKの離脱問題の影響を受け始めています。
3月3連発の中央銀行政策決定会合後にユーロ円は大きく下落の可能性も
ユーロ円の狙い目は、ずばり3月に到来しそうな状況です。まず10日の「ECB理事会」でなんらかの追加緩和がでてくるものと思われますので、今回こそ不発でなければユーロドルの下落は明確化する可能性が高くなります。
また日銀も15日に何かを追加で出してくる可能性はありますが、翌日の16日には「FOMC」で利上げ延期がでる公算が極めて高まっていることから、ドル円は下落の可能性もあり、ユーロドルとドル円の下落が掛け合わさった場合には、掛け算通貨であるユーロ円はさらに大きな下落で、円高方向に動く可能性がでてきているというわけです。
おそらく120円が割れれば110円から100円方向に動くことになると考えられ、その下落幅は明らかにドル円を超えることが想定されます。
チャートの動きから見ると単純でないのがクロス円通貨のユーロ円
とはいうものの、クロス円通貨のユーロ円はユーロ、ドル、円といった三つの通貨の影響を受けるため日足でみても単純な動きをしているわけではないことが判ります。
とくに「200日移動平均」とユーロ円の位置関係を見て見ますと、確かに「アベノミクス」スタートで明確な円安となった2013年から2014年にかけては、ユーロ円は200日移動平均の上側を常時推移して上昇傾向にありましたが、2015年以降はこの200日移動平均をかなり上下する動きに終始しており、この平均線以下になったから単純に下落とはいかない難しさを持っていることもまた事実です。
したがってドル円とユーロドル、ユーロ円の3つのチャートの動きを見ながらユーロ円がどの通貨ペアとシンクロして動いているのかを常にチェックしながらディールしていくことは継続していく必要があります。
「ボラティリティ」の大きな通貨ですから、上下両方向をとりに行こうと思うと失敗する可能性が高くなりますが、しっかり戻ったところを常に売りにして、万が一踏み上げられたら一旦切って売りなおすといった丁寧な売買を心がければ、大きな利益チャンスに遭遇することができそうな相場状況になってきているといえます。
(この記事を書いた人:今市太郎)