いよいよ3月1日米国では「スーパーチューズデー」と呼ばれる米国大統領選挙における共和、民主両党の党員集会や予備選挙が集中するタイミングに突入しようとしています。
民主、共和党ともに意外な候補が善戦し始めており、少なからず為替にも影響が出始める可能性が高まってきています。
直接的な影響はまだ始まったばかりですから強いものにはならないと考えられますが、円安に大してはユーロよりも米国にとっては日本はもの申しやすい国であることから、さらに過激な候補者発言が飛び出すことにも注意が必要となっています。
まさかのドナルドトランプ大躍進の動き
ニューハンプシャー州、サウスカロライナ州、そして今度は主要地域であるネバダ州でもまさかの勝利を収めた「ドナルド・トランプ氏」は、刻一刻と米大統領選の共和党候補指名を獲得する可能性が高まっています。共和党支持の有権者がある時点で正気に戻ると考えられていましたが、このままでは今の勢いで突き進む可能性も高まってきています。
対日政策についてもかなりエキセントリックなことを繰り出してくる「
トランプ氏」ですが、応分の支持者が存在することは間違いなく、安全保障関係や「
TPP」などがこの人物の当選でどうなるのかはある意味で見ものになります。
それ以前の状態としてドル高けん制といった動きは、民主党の「
クリントン候補」でさえ人気取りの為に口にするようになっていますので、そういった動きが強まる可能性は考えておかなくてはなりません。
民主党でも自称社会主義者のサンダース氏が猛追状態
一方民主党サイドでも「ヒラリー・クリントン」がリードするものと思われていたところ、社会主義者と自認する「バーニー・サンダース氏」がリードをする結果となっており、「CNN」のみならずいくつもの世論調査で優勢が伝えられるようになっています。
これも驚きの状況であり、米国の中間層が現状の政治に不満をもっている事の表れが、そのまま候補者選びに現われた状況になってきています。
ここまで新たな候補が躍進することになったのは、かなりの驚きですが、支持者が存在することだけは厳然たる事実ですから大統領選自体がこれまでとは異なる動きになっていくことも想定しておく必要がでてきています。
日本は為替でたたかれやすい立場に
毎回大統領選挙では日本が叩かれやすくなる傾向がありますが、ドル高が米国の企業の収益を圧迫しているといった論調は今後ますます強くなることが予想されます。
しかも、両党の候補者が交互に日本の円安政策を叩きにかかることになることからドル円についてはこの大統領選挙は上昇の支援材料にはならない可能性のほうが高くなっているといえそうです。
さらに大統領選挙の年の株式相場はNYダウを中心として3月から5月までは上昇が「
アノマリー」となってきましたが、8年間続いた大統領の最後の年の場合必ずしもそうはなっておらず、クリントン政権とブッシュ政権の最終年に、それぞれハイテク株と米住宅市場の崩壊があったことから、「
アノマリー」どおりには動かないことも考慮しておく必要がありそうです。
エキセントリックな候補者の選出を嫌気する展開も
まだまだ始まったばかりの米国大統領選挙ですから、結果まで占うことはできませんが、「トランプ氏」が正式に候補に選ばれ、しかもその支持率が急上昇するようなことになれば、ドルに対する信任の問題が浮上することも考えられ、ますますドル安が進む可能性がでてきています。
3月はそうでなくてもポリティカルエコノミーの色彩の強い月になりそうですが、そのきっかけとなる「スーパーチューズデー」でこうした流れが一層強くなることにも注意が必要です。
このように何をとってみても、ドル円の上昇支援材料は少なくなってきており、よほどの市場における状況変化がない限り当面ドル安円高の流れを変えることはできなさそうな雰囲気が続いています。