3月に入ってから相場は次第に戻り歩調をとっていますが、NYダウは完全に「ダブルボトム」を形成したものの、ドル円のほうは必ずしも「ダブルボトム」にはなっていないのが現状です。
2日のロンドン市場でドル円は114円50銭を超えるところまで吹き上げたものの、その後のNYタイムには113円20銭台まででなんと1円以上もするする下落することとなっており、さしたる理由もなく簡単に113円台に下落する相場展開となっています。
一旦114円台中盤まで買い上がったことから、ショートのポジションが一掃されて動きやすくなったことが原因といえば原因ですが、2月16日の114.86円レベルを確実に超えることができておらず、厳密にはダブルボトムを形成するには至っていないのが現状です。
しかし、現政権はなんとかして年度末の株価を押し上げたいようで、具体的な政策発表なども出てくる可能性が高まっており、次のような日程について注意しておくことが必要となりそうです。
11日東証のメジャーSQ算出日を境にして株価上昇策が登場か
3月11日は東証のメジャーSQの算出日ですが、ここを越えると相場をかなり無理やり戻す動きが加速しそうな状況となってきています。
ただ、「GIPF」の日本株購入余力は、ある国内証券によると4兆円あまりとされてきましたが、ほかの証券会社の試算ではほとんど購入余力がないという見通しも出て始めておりますので、実態はよくわからないのが実情です。
したがって「PKO」による株上げというのが、実際どこまで可能なのかも、かなり微妙な状況になってきているようです。
ヘッジファンドなどの投機筋は政権による財政出動に期待
3月15日には「日銀政策決定会合」があり、ここでまたしても追加緩和が登場するのではないかとの憶測が高まってきていますが、「マネタリーベース」の拡大に「マイナス金利」の深堀がでても市場の反応は薄い可能性もあり、海外の「ヘッジファンド勢」は日銀よりも政権による真水の財政出動のほうに関心を強くしている状況にあります。
既に28年度の本予算は衆議院から参議院に移っていますので、14日からの週に補正予算による財政出動の話が具体的な数字をもって登場することになれば、一定の株高が期待できる状況にあります。
こうなるとドル円も一定の上昇のご相伴に預かる可能性がでてきているというわけです。
底上げ成功か失敗かの判断は春分の日前後で判明か
現状で日経平均は1万6800円レベルまで戻してきていますので、すぐに1万7000円台に回復するかどうかはわかりませんが、1万8000円程度を年度末の目標とした場合にはそれほど遠いターゲットではなくなってきています。
ただしそれを超えるレベルの回復はどう考えてもこの年度末に達成させることはほとんど不可能であり、「春分の日」前後で手が届くレベルになってきているかどうかが一つの判断要素となりそうです。
材料出つくしと見れば投機筋の売り浴びせもまだありうる世界
通常年度末ですから相場は上昇するのが基本なのですが、材料出尽くしと市場が判断すると、容赦なく売り浴びせを掛けてくる可能性もありますので、この年度末相場が成立するのかどうかは細かくチェックして判断する必要がありそうです。
日本株が上がればドル円もついていく可能性は高くなりますが、ここのところユーロ円などのクロス円が大きく下落するとそちらの影響を受けて、ドル円も買い上がれないケースが現実に出始めています。
ドル円は年初の下落の半値戻しまで届けば、116円台前半程度まで戻ってもおかしくはありませんが、115円台をすんなり買い上がれるほど相場は簡単ではなく、115円台を突破しきらなければ6月を待たずに下方向に大きく下げる可能性が十分に残されていることだけは意識しておくべきです。
依然として月末までは難しい相場展開が続きそうな動きとなってきています。
(この記事を書いた人:今市太郎)