16日(日本時間17日午前3時)に発表された米国「FOMC」の「政策金利」は市場の大方の予想通り据え置きとなり、「FOMC」メンバーによるドットチャートの予想は年間2回の利上げ、つまりここからプラス0.5%が最も多くなるという利上げ後退が目立つ内容となりました。
ただ、先行きの利上げがまったくなくなったわけではないため、ドルが一気に激しく売られるというところまでは行きませんでしたが、それでもユーロと円に対してはドル安が進行中です。
これで3月10日からの主要国「中央銀行」による政策決定会合の結果が出揃う形となり、市場は新たな材料を探して動くこととなりそうです。
足元では112円台の前半レベルに結構大きな買いが入っているようで、これが「GPIF」なのかどうかは不明ですが、3月末までは下値も大きく崩しそうではないところから、上値と下値を切り下げた形のレンジ相場がドル円の基調ということになりそうです。
ドルの支援材料はほとんど出尽くし
この3つの「中央銀行」の政策決定から見えてくるのは、ドルの支援材料が極めて限定的であるということです。その代わりにドルと逆相関の動きをする原油の先物価格は「WTI」ですでに40ドルを回復する形となっており、「資源国通貨」の対ドルでの復調が本格的なものになろうとしています。
ドル円はこれまで114.500円以上をなかなかつけられないままに「FOMC」を迎えましたが、今回の発表を受けて114円台、ならびに115円台はさらに上値が重い展開となってしまい、当分戻り売り優勢の相場展開が続きそうです。
GPIFなどのPKOがどこまでドル円を買い上げるかがポイント
国内では、年度末に向けて安倍政権は「GPIF」などを総動員して株価の上昇に尽力を尽くすことになりそうですが、これに関連して損失拡大の大きな要素でもある円高をどこまで是正するかの動きも注目されます。
ただ「GPIF」などの買いは介入ではありませんし、一定の金額に限定されることから下値を支える要素にはなりますが、このまま「GPIF」を中心とした三共済が大きくドル円を買い上げることにどれだけ貢献でできるのかは依然不明な部分も多いです。
ですから、本質的な市場の動きとしてはドル安円高になりやすい地合が継続しそうです。
むしろ株価が上昇しようとしても、ドル円がそれを抑制する動きになりかねないことも想定しておかなくてはなりません。
ただ、今回の「ECB」の緩和結果を受けては完全にロールができない状況が明確になってきており、日銀もそれを目の当たりにして動きがとれなくなりつつあることがわかります。
とくに全力で緩和措置を実施するとやり尽しと市場に見極められる怖さがあり、既に先進国「中央銀行」は「量的金融緩和」投入時のように、思いのままには市場を動かせなくなってきていることがはっきりと判る状況です。
4月以降ドル円は明確に円高方向か?
年度末は様々な思惑からドル円も政治的に買われそうですが、どうも相場の基調はドル安方向であり、一定回数上値追いをためしてみてもはや114円にすら戻らないようであれば新年度以降ドル安方向に明確にトレンドが変わる可能性もでてきています。
この3ヶ月を振り返ってみますと、年初がドル円は一番高いところにあり、1月29日の日銀の「マイナス金利」で3日間だけドルが吹き上がったときにつけた「121.687円」が実は年初来高値でまったくこのレベルに戻る気配がないところが気になります。
直近の相場でドル円が111円を簡単に下抜けていくようには見えませんが、リスクは依然下方向にあるのは明確です。
(この記事を書いた人:今市太郎)