3月の「ECB理事会」後の記者会見で「ドラギ総裁」が失言をしてしまったことに起因して、またしても猛烈な上昇を示現させてしまったユーロドルですが、決して経済的状況がよろしいわけではないのに、ドル高方向にはもはや動かなくなりつつあります。
そこでこの先3月末にむけて予想上昇レベルについて考えてみました。
依然としてレパトリ需要の強いユーロドル
対ドルとの金利差から考えても、指標を含めた経済的な状況を考えてもユーロ圏が好調とはまったく言えないわけですから、ユーロドルが下がらないことに違和感を覚えているトレーダーの方も多いことと思います。
しかし、ユーロ圏の経済状況が悪ければ悪いほど、ユーロ圏内で手元資金が必要になるのが実情であり、海外で運用している資金をユーロ圏に還流させる、いわゆるレパトリエーション・本国への資金送還が起きることになることから、今後もユーロはドルに対して高い位置で動くことが予想されます。
日本は3月末が年度末ですが、欧米のほとんどの企業はカレンダーイヤーがフィスカルイヤーとなっていますから、毎月末特別なユーロ還流需要がでているのが最近の状況であり、今月も30日や31日の「London Fix」では同様な動きが期待できそうです。
1.1350レベルを抜ければさらに上昇
「ドラギ発言」による急激な巻き戻しでなんと1.13レベルまでオーバーシュート気味に上昇したユーロドルですが、直近では1.13500レベルで頭を抑えられる形になっています。
この1.13500レベルを抜けることができれば、その上にあるのがこれまで何度か上値を抑えられてきた1.14500レベルということになります。
この近辺では過去1年近くでも上昇を抑えられていますので簡単にはすり抜けられないことが予想されますが、足元の1.13500抜けではそこまで到達するのにそれほど長い時間はかからないものと思われます。
問題は今後の戻りのスピード次第ですが、4月に入るといよいよイギリスのEU離脱問題にユーロも巻き込まれることになりますから、3月末までに1.14500近くまで戻すことができれば4月初旬にはもう少し上まで戻りを試す可能性がでてきます。
ただし、4月後半からはポンドリスクにユーロが付き合わされることになるため、逆に高値は絶好の売り場として機能することも考慮しておく必要がでてきそうです。
一部の報道でも伝えられているように、「G20」での「ドル安上海合意」が本当ならば、当面ユーロはドルに対して優位的な動きになりますから、下げたところを丁寧に拾っていけば4月中まではそれなりの利益を確保できそうです。
3月中に1.15まで到達すれば1.2を目指すことになりますが、最近はアルゴリズムのおかげでかなり「オーバーシュート」気味に相場が推移しやすいため、ここまで届いてしまう可能性もまったくないとは言い切れないところです。
ドルインデックスを常に見ながら売買するのがお勧め
ユーロドルの動きについてはこの通貨ペアのチャートをチェックするのはもちろんのこと、「ドルインデックス」の動きをみることも非常に参考になります。
ドルインデックスはドルといくつかの通貨との相対的比較を集めたものですが、もっとも影響を与えているのはなんといってもユーロドルの動きですから、これを見ていてもユーロドルが上がるのか下がるのかはある程度推測できる状況にあります。
直近の動きでは明らかにドルは下落傾向にあり、今や間違いなくドル安の動きが継続するようになってきています。ユーロドルはドル円に比べてもかなり1日の「ボラティリティ」が高いため、しっかりとしたエントリーポイントさえ探せれば安定的に利益を積み上げていくことができるのが魅力です。
ドル安が明確であるこの時期こそユーロドルで稼いでみるというのがお勧めとなります。
ただし、6月「UK」の投票をこなしたとしても、夏場に向けてはまたしてもギリシャの債務返済問題が浮上しますし、その折々で下押しする材料も満載となります。
したがってデイトレレベルで毎日しっかりと利益確定を積み上げていくことのほうがリスクの少ない取引を実現できそうです。チャート的にも上値を切り上げつつあるレンジ相場の様相を呈していますので、4月初旬までは比較的リスクの少ないトレードが可能になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)