相場は円高一色で株価も大きく下げてからは予断を許さない動きが続いています。
このコラムでは既に何回かご紹介していますが、世界的なエリオット波動分析の達人といえば三菱UJFモルガンスタンレー証券のチーフアナリストである宮田直彦氏の分析ということになります。
この方は、TXのモーニングサテライトをはじめとして様々なメディアにもよく登場されていますのでご存知の方も多いことと思います。
エリオット波動は、波の数の数え方を読み間違えますと、とんでもない誤認識につながってしまうため、プロの視点でご教授をいたただくことが何よりも大事なものとなります。
今回は宮田氏の指摘の中で多くの方が気になる、日経平均とドル円など主要通貨ペアについて取り上げてみたいと思います。
日経平均は先々1万3000円試しという衝撃的な示唆
宮田氏のエリオット分析では過去において日経平均が重要な転換を示した年に「フィボナッチ数列」を加算することによってその結果を導き出していると説明されています。
それによると2016年の3Q、つまり7月から9月あたりが底入れ時期として注目されるとされています。
この時期の下げのメインターゲットは1万4000円付近であり、現状の第二波の下げは通常深いことが多いことから先々1万3000円試しの可能性もあると指摘されています。
第一波の61.8%押しまで見込むとなると、確かに日経平均は13032円となり「TOPIX」は1078という数字が登場してくることになります。
4月初旬の段階で1万5700円あたりをうろうろしている日経平均ですから1万4000円あたりまで下落してもそれほど驚くべきものではありませんが、1万3000円となると「アベノミクス」で積み上げた株価がかなり戻ることになりますから、なかなか衝撃的なレベルといえます。
宮田氏は最新のレポートで4月末に向けて1万4000円を試しに行くのではないかと予測しています。
ドル円は昨年6月以降で円高B波が進行中
株価がかなり低い位置を狙うとなると気になるのはドル円ですが、2011年10月の1ドル「75.35円」を基点とする円安トレンドA波が昨年6月5日につけた「125.86円」で完了し、今は円高のB波が進行中というのが宮田氏の見方です。
以前エリオット波動をとりあげた際にもこの6月の高値がピークだったのではないかという指摘をご紹介しましたが、まさにそのとおりで完全に円高へとシフトしていることがわかります。
宮田氏の分析でヘッドアンドショルダーの垂直計算から得られる下落のターゲットは「106.30円」付近で、これは2011年の「75.35円」から昨年6月の「125.86円」までの上昇のちょうど38.2%押しのレベルとなる「106.57円」とも符号することになるのです。
同氏は今月末か来月早々にも「105円」から「106円」を試しに行くことになると予測しています。
4月7日にすでに「108円」を抜けてしまっているわけですから、年初に「106円」を想像するとずいぶん下のほうというイメージがありましたが、今となってはもはや2円下程度ですから、ここから簡単に到達する事も考えられるわけです。
ユーロドルは1.1495を試す展開
さらにユーロドルについてですが、こちらは昨年3月16日につけた1ユーロ「1.0458ドル」が15年サイクルボトムの可能性があることを宮田氏は前から指摘しています。
年末12月3日の「ECB」の追加緩和でパリティを目指すなどという話もまことしやかに相場を駆け巡りましたが結果は大幅なショートカバーで、この時以来ユーロはドルに対して大きな下げを示現していません。
むしろ、この12月の「1.0524」はダブルボトムの可能性が高く、早晩昨年の10月高値となる「1.1495」を試しに行く可能性が指摘されています。
なぜか当たるフィボナッチベースのエリオット波動
FXの場合には、株価以上に政治的な影響を受けやすく、「要人発言」や各国の経済状況、さらに地政学リスクなど、とにかく影響を受ける材料が多いことから、波動論などではおよそ先行きを占うことはできないだろうと思いがちですが、実はこのエリオット波動は達人が分析すれば、誤差範囲はでるものの、なぜかよく当たることになるのです。
しかも「ファンダメンタルズ」などは全く考慮したいないはずなのに相場の動きが見えてくることになるのです。人間も自然の生成物のひとつですから、見えない何かの仕組みの中で生かされている可能性が高いのだろうと思いますが、このエリオット波動を参考にしてみると後になってから結構驚くことが多くなるものです。
(この記事を書いた人:今市太郎)