4月第二週、冒頭から下げ始めたドル円は一週間(5曜日)で実に4.04円という大きな下落を果たすこととなってしまいました。
これに追随するようにクロス円も直近では大きな下落となり、完全にドル円の動きに引きずられてしまったことが改めてよくわかる状況です。
しかしその前週までは「イエレン議長」の議会講演会で「ハト派」発言が出たことから世界的に市場は大きくリスクオンの相場になり、資源国や新興国の株式は大きく上昇、また「資源国通貨」も対ドル、対円で上昇した経緯があることからこのドル円の暴落に引きづられたクロス円の下落がもうひとつよく理解できなかったトレーダーの方も多かったことと思われます。
そんな状況のときにしっかり確認したいのが「ドル安なのか円高なのか」ということです。
ドル安と円高とではクロス円の動きは大きく異なる
下記のチャートは4月9日早朝でほとんど取引が薄くなった頃のドル円とクロス円のチャートをキャプチャーしたものですが、5分足のクロス円はほとんどドル円と足取りを同じように動いていることがわかります。
つまり先週のドル円の下落、は前週と異なり円高に大きく起因しているというわけです。
ですから、ドルストレートで豪ドル米ドルやNZドル米ドルなどのチャートを見ていきますと、全くクロス円とは異なる動きをしていることも多く、まずはこのポイントをつかむことがクロス円の取引には重要になってくるといえるのです。
先週のドル円の下落時には、ユーロドルでもユーロ円の下落につられて下落する場面が見られましたが、ドル安であればユーロは確実に上昇することになり、このあたりを見てもどの通貨が牽引して相場を下げているのかを確認することができるのです。
なぜこの時期に円買いが猛烈に進むのかについては、様々な要因が重なっていることは事実ですが、「日経平均株価」が下落したことに加えて、総理大臣の介入をしない旨のインタビューが絶好のタイミングでWSJに掲載されたことも「投機筋」の売り浴びせを誘う結果となり、「オーバーシュート」気味に下落したことは間違いありません。
動きの方向性がはっきりわかるならクロス円勝負もあり
クロス円の場合、架空の掛け算通貨で実需がないことからどの通貨についていく動きをするかわからないことが多いのですが、確実に円高ですべてのクロス円が円買いに動いているといった明確なタイミングのときには、ユーロ円はドル円の1.2倍以上動きが増幅されることになるため、利益を上げやすくなるといったメリットもあります。
しかし何かの事情で急に動きが変わることもありますので、常に元の通貨ペアであるドル円とユーロドルの動きを掌握しておくことが必要です。
その他の「資源国通貨」などでも同様で、対ドルでは上昇しているなどということも多くありますので、通貨ペアの選択方法も重要になってくるのです。
今後ですが、ドル円はある程度下落を示現してしまいましたので、この先さらに下落するとしても一旦日柄で調整してしまうこともありそうですから、ほかの通貨で動きやすいものをしっかり見つけておくことも重要になります。
そうなるとクロス円で勝負したほうがいいのかドルストレートで売買したほうがいいのかといった選択も重要になってきますが、ドル円を主体で売買されている方は、こうした周辺通貨の動きも日頃から慣れ親しんでおくことが必要となります。
いきなり異なる通貨ペアでトレードしますとやはりレベル感がなかったり、独特の癖を理解できていなかったりで、同じFXなのにつまらないことで損をすることもあるからです。
ドル円の動きが膠着しそうなときには、こうしたほかの通貨ペアでも取引できる力量を高めるチャンスでもあります。あわてず時間をかけて慣れていくようにしたいものです。
(この記事を書いた人:今市太郎)