22日の金曜日ブルームバーグの観測報道で「日銀が当座預金の適用しているマイナス金利を拡大する際は、金融機関への貸し出しにもマイナス金利を検討する」という内容が突然飛び出したことから株も為替も大きく上昇することとなりました。
とくに為替はもはや「オーバーシュート」気味に上昇を果たしてしまい、こうなると日銀の28日の緩和はもはや規定路線という状況になってきてしまっています。
もはや日銀の政策はなんでもありの世界に入り込んでいるように見受けられますが、最近ネットのメディア中心にさらにびっくりするような政策の実施があるのではないかと囁かれ始め、市場を驚かせています。
Photo Reuters.com
究極の錬金術をはじめるつもりか?
あくまで噂の域を出ない話としてご理解いただきたいのですが、一部のメディア記事として推測し始めているのが日銀による既存債券の永久債への転換の噂です。
永久債って何?と思われる方も多いと思いますが、ご存知のようにこれまで国が発行してきた「国債」には長短の期間の差はあれ必ず「償還期間」が設定されていました。しかし、これを永久債に転換してしまおうと日銀は考えているというのです。
ひとたび永久債にしてしまえば、国が「国債」を発行するそばから日銀が買い取って金庫に仕舞い込めば借金の返済はなくなるわけで、国の破綻や不景気はいくらでも回避できることができる魔法の錬金術が登場することになるわけです。
しかしこんなことをすれば膨大の債権をかかえたとんでもない国になりますし、なによりこんな21世紀の新たな徳政令のような政策を先進国の「中央銀行」が打ち出した途端に世界の金融市場からの日銀に対する信任は、大きく失墜することになりかねません。
半分冗談としてもこうした憶測記事が既に市場に出始めていること自体がかなりの驚きですが、22日のブルームバーグの観測記事も関係者があえて政策のティーザー的なリークで掲載させたのではないかとの憶測が飛び交いはじめており、既にそのやり口は掟破りの域に入り込もうとしていることがわかります。
中央銀行バブル崩壊に向けて自ら飛び込み台を高くする日銀
さすがに28日の政策決定会合でゼロクーポンの永久債への転換話がいきなり登場するとは思えませんが、「マイナス金利」の履行以降、もはやなんでもありのようにこれまで行ったことのない劇薬のような政策に突き進もうとしているのが「黒田日銀」の現状に見えて仕方ない状況です。
「黒田総裁」も「安倍総理」も2018年を過ぎればお役ご免となるので何の責任も取らずに退場して事なきをえるのだろうと思いますが、果たしてここまで出口のないような戦略を繰り出してしまって、一体この先どう収束させるのかが非常に心配になります。
22日のリークひとつとってみても相場を弄んでいることは間違いなく、こうしたやり方で相場を持ち上げようとすれば必ず手痛いしっぺ返しを食らうのがこれまでの市場の流れになっていることだけは忘れないようにしたいところです。
マイナス金利の実施あたりから既にアウトな状態は始まっている
ノーベル経済学賞を受賞する学者の間では「マイナス金利」をめぐる前向きな評価もかなり登場していますが、学問的なレベルでの評価はともかく、資本主義の実態経済で「マイナス金利」がでるというのは、旧ソビエトが目指していたような究極の計画経済を志向するのでもなければ本来ありえない状態であり、金融機関の疲弊も目立ちはじめているのは厳然たる事実です。
そこで貸付金利もマイナスにしてある意味形の違うインセンティブを支給しようという事なのでしょうが、これまでの日銀の当座預金に対する付利とは異なり「マイナス金利」貸付は明らかな構造的利益供与に近いものを感じ、本当にこういうことをしてしまうのかが注目される状況となってきています。
「リーマンショック」は民間企業がしでかした大惨事となったわけですが、それを救済するために表舞台に登場してきた「中央銀行」が自ら仕掛けるバブル状況の破綻が現実のとなった時、どれほどのネガティブな影響が示現するのか、またどこまでマイナスな状況が継続してしまうのかが非常に心配です。
大暴落といった形で市場の手荒い洗礼を受ける日がかなり近づきつつあることを実感させられる次第です。
(この記事を書いた人:今市太郎)