週明けから麻生財務大臣の怒りの介入発言などもあって109.300円レベルまで大きくショートカバーしたドル円相場でしたが、109円が割れ始めると一転して相場全体がベアになり今度は108円の下方向を試しにいくといった非常に難しい展開が続いています。
しかしこうしたよくわけのわからない相場にのって突っ込み売りについていくと、結局大きくショートカバーで踏み上げられることも容易に予想されることから、相場への参入の仕方が非常に難しくなっていることを感じます。上も下も動きが限られているのが足もとのドル円といえそうです。
109円台を買い上がる向きは不在
やはり連休明けに戻したドル円はショートの買い戻しが中心だったようで、売りのストップロスをかなり上までつけたことが「オーバーシュート」気味のショートカバーを示現させることとなったようです。
実際ショートカバーがすべて終わると上値を買う向きはまったく不在で、ずるずる下がり始める展開となっています。
どうやら輸出の売りはやはり110円台に置かれているようで、これがさらに下がってくることも想定されますが、とにかく上値は「実需」がしっかりブロックしている状況となっています。
下値は機関投資家とGPIFがお待ちかねか
一方下値にも買いがかなり並んでいる気配で、「口先介入」はしても実弾での「介入」が難しいと判断する首相官邸と「財務省」がなんとかして下値を割らさないように生保や「外債」を購入する機関投資家などに働きかけて106円台を死守する動きに出ている可能性もあります。
しかし東京タイムは株価が弱いと確実にドル円は下落するようになっており、なかなか方向感をつかむのが難しくなっていることは間違いありません。
一旦の下落調整が終わった可能性も
円関連でいいますと伊勢志摩サミットが近づいて政策対応が明らかになるまでは次なる材料はなく、当分こうした方向感のない相場展開が続くのかもしれません。
今年は例年の「アノマリー」にくらべて相場が一ヶ月近く先行して動いている感があり、5月の円高は4月にすでに訪れてしまったようにも見えます。
夏場にかけては株の低迷にドル円もついていくことが多いわけですが、果たして政治イベントも多い中で例年の動きをトレースしたような相場展開になるのかどうかが注目されるところです。
5月後半はサミットの失望売りにも注意
「安倍首相」は官邸主導で様々な政策対応を考えているようですが、官邸が想定するほど市場にとってはサプライズとはらならない政策やサミット声明が出た場合には、一定の失望売りが登場するという意外な展開も想定しておく必要がありそうです。
当然首相自身はその成果について自画自賛することになると思われますが、海外のファンド勢はトータルでみた「アベノミクス」に対する失望をあらわにする可能性もあり、プラスにばかり働くと考えていると大間違いとなる展開になる可能性も高くなっています。
もともと近年では「G7」の会議の結果を受けて、市場が大きく動くなどということは殆どなくなってきていますが、それだけに成果を期待しすぎるとたいした内容がでないことにより、逆に失望のほうが高まることにもなりかねないわけです。
5月の相場は新しい材料を探す動きになりつつありますので、つまらない材料が登場して、しかもそれが評価に値しないものとなると格好の売り材料にされることには注意しておかなくてはなりません。
サミット関連は全容が見えないだけに敬虔に語ることはできませんが、財政出動に全く興味のない他の先進各国の状況を見るにつけ、どうもプラスには働かないのではないかという気がしてなりません。
(この記事を書いた人:今市太郎)