今月20日、21日に仙台で実施される「G7」財務相・中央銀行総裁会議に米国の「ルー財務長官」が出席することが明らかになりました。
ルー財務長官といえば、歴代財務長官の仲では猛烈に影の薄い存在として有名ですが、なぜかオバマ政権の末期になって「突然対円での強気発言を繰り返し」ゴールデンウイークの円高を引き起こした人物の一人と言われています。
19日に来日して、麻生財務大臣などが口走る内容との整合性のない発言が顕在化してきますと、ドル円は再度下落に向かう可能性がでてきています。
ドル円は秩序だっているという話は、当然また蒸し返すことになりますから、ご本人を前にして麻生大臣などがなんと発言するのかが実に興味のあるところです。さすがに本人を目の前にして「やる時はやる」と憮然とできるかどうかがある意味見物になってきています。
日米の金融関係者でどうしてこうも発言にニュアンスが違うのか?
安倍内閣サイドが選挙を前にして株も為替も無闇に下げたくないという心理はよくわかります。
5月は決算を控えていることから「ヘッジファンド」は一旦買い戻しが入り、ドル円相場はショートカバー主体で109円中盤に近いところまで買い戻してはいます。
ただし、ここから買い上げる向きがおらず何度も上をつけては下落するの繰り返しをしながら週末を迎える状況になってきています。
「対日批判」の先鋒であるルー財務長官が来日する時に面と向かって、「介入辞さず」を果たして、日本サイドが言えるのかに大きな関心が集まるところで、当然日本のマスコミが聞かなくても外資系のメディアはその辺りを質問してくることになるのではないでしょうか?
相場は疲れの目立つ状況
一旦105円台までつけた相場は一応の達成感もあるのでしょうが、1~2月にやられた「ファンド」も多く、「投機筋」に元気がなくなっていることもまた事実であり、こうしたことがもみ合いで方向感のない相場展開を持続させているとも言えます。
したがってルー財務長官の来日とダイレクトな発言をきっかけにして、105円を抜ける大きな展開が示現するとは到底思えませんが、日本の「財務省」関係者が口走っている内容が、どこまで現実性のあるものなのかはあらためてこの機会に値踏みされてしまいそうです。
大手自動車メーカーの想定為替レートは105円
最近決算発表などで明らかになってている、本邦の自動車メーカーの想定為替レートは105円が大変多くなっています。
また失言で有名な「浜田内閣官房参与」も「110円から105円のレンジ」と、またしても具体的な数字を出して為替の相場感をマスコミに伝えています。
勝手に口走ったのか、言わされているのかは定かではありませんが、どうやら105円を割る水準は首相官邸も相当ナーバスになることが予想されます。
選挙に向けて「やぶれかぶれ」の政権は為替操作と罵られても、105円を割れた途端に「介入」を本当に仕掛けてこない可能性は全くないとは言い切れなくなってきています。
ただ大統領選を控えたこの時期に、そこまで米国との関係を険悪にさせるつもりがあるのかどうかにも疑問が残ります。
「安倍首相」が訪米時に為替の秩序を守るといった、余分な発言をしたことがWSJに掲載されて、円高の材料にされたことがありましたが、これも一説には「米国に言わされただけ」という話もあり、日本の内閣関係者の介入発言は実はかなりの「張子の虎」的状況という見方も依然根強くなっています。
いずれにしても当事者揃い踏みとなる中で、動きがでることにも期待したいところです。
(この記事を書いた人:今市太郎)