6月23日の英国国民投票まで23日となりましたが、ここへ来て連日様々な世論調査結果がではじめており、それにあわせて相場は日替わりで乱高下するようになってきています。
迂闊な決め打ちで残留優位などと考えていると、とんでもない痛手を被ることになりそうで、ここからは相当慎重な売買が必要になってきています。
ポンド円は15時間で4円強下落
特に注意が必要なのは、クロス円通貨ペアのポンド円です。もともとポンド円は架空通貨ですからほとんど実需のニーズはありません。
したがってポンドドルとドル円の動きで増幅した相場展開になるわけですが、31日の午後1時すぎに163.880円をつけたポンド円は1日の午前4時に159.844円まで下落し、実に15時間で4円以上下落を示現させることとなりました。
英国のEU離脱について英紙ガーディアンが掲載したICMによる最新世論調査結果は、電話及びオンライン合同の調査に基づくものですが(離脱・残留の意思を示した意見のみ)離脱 52% 残留 48%、電話による結果は(未定・不明含む)離脱 45% 残留 42% 不明・未定 13%となり、前日にロイターが発表した結果とは逆さまに離脱派優位の状況になってきています。
これを受けてポンドは思い切り売られることとなったわけです。こうした調査結果のどれが市場にもっとも影響を与えることになるのかについては、国内で投資をしている個人投資家は非常に悩むところです。
実際、日本の政治状況を見てみても、G7でリーマン前などと余分なことを言った首相がネットではかなり笑いものになっている反面、世論調査をするとオバマの広島訪問で支持率が55%以上に回復していたりと、必ずしもそこに暮らす個人の感覚とは異なるものが数字で現れたりすることもあるため、まだまだ実態はよくわからない状況にあることは理解することが可能です。
決め打ちは危険、かつポンド円はリスク通貨
日本にいると既に英国は離脱回避かと錯覚するような感じでしたが、こればかりはまだまだ動きがありそうです。ここから離脱回避だけを信じてポジションを持ち続けるのはかなり危険です。
しかも相場はぶれても戻ることが多いので、証拠金を厚くしてストップロスを置かないという売買をされている方も多いかと思いますが、1日4円動くような通貨ペアでこれをやるのはかなり危険ですし、証拠金の使い方としても決して喜ばしい方法ではないといえます。
恐らくここからは毎日、日替わりで乱高下することになるのがポンドですから、クロス円通貨よりもなんとかドルストレートで勝負するのが正しい方法となりますし、なによりこの事前の乱高下の最中にあえて参戦して投げを踏みの応酬の中に入り込む必要があるのかどうかについてもよく考える必要があります。
獲得できるPIPSも大きいですが、リスクはそれよりはるかに大きく、世論調査結果次第であるため、いつ相場が反転するかまったくわからないのもかなり厳しい取引となります。
事実上博打に近いのがこうした政治イベントで、結果がわからないものですから、最後の投票で出口調査結果に基づいて売買してみるといった博打はまだ可能性がありますが、投票までの途中経過での乱高下はよほどポンドに精通していない限りやらないほうがいいのかも知れません。
タイトなストップロスをおくにしても結局チャートでは方向感が全くつかめませんから、損切り貧乏連発にも気をつける必要があります。また最終的な投票結果がでた場合には、ドル円が離脱で大きく円高に抜けることについても心配しておく必要がありそうです。
6月の「FOMC」は英国の結果を待たずに利上げといった観測もではじめましたが、現状を見ているとそう簡単な判断にはならなさそうな状況になってきていることがわかります。まだまだ結果を断定するのは、このタイミングでは早すぎます。くれぐれも注意深い取引をされることをお勧めします。
(この記事を書いた人:今市太郎)