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1日午後6時、予想どおり「安倍首相」は消費増税の先送りを決定して記者会見に臨みました。
しかし「アベノミクス」の成果は次々強調するものの世界的な経済リスクがあるのであえて見送ると、非常にわかりにくいロジックを展開することとなり、事前から下げていたドル円相場はさらに下落して109円台初頭にまで意味もなく下落を継続させるという、なんとも手荒い相場の洗礼を受けることとなってしまいました。
市場では日本に対するかなり厳しい見方が顕在化
Photo 首相官邸HP
首相が今は「リーマンショック前」という話を持ち出したあたりから、相場ではエコノミストの失笑を買うことになりましたが、一方ではそこまで話を持ち出さなくてはならないほど追い詰めれれているのかというさらに悲観的な見方も登場してきているようで、誰が思いついたのか知りませんが、この非常事態宣言は決してドル円にはプラスに働かなくなっているようです。
特にファンド勢の評価は実に冷ややかなようで、株も為替もこれで海外勢から買われる可能性は殆どなくなってきているといえそうです。
特に「アベノミクス」の成果は朗々と自画自賛する割に、リーマン並のリスクが迫っているとするパラドキシカルでエキセントリックな首相の説明は相当好意的な人物が聞いても違和感のある内容であり、プロの経済スタッフがいるのなら、もう少しマシなロジック展開をしてもよかったのではないかとさえ思われる状況になってきています。
国債の格付け下落がかなり現実味を帯びた状況
増税延期にこれから登場すると見られる大型財政出動が出揃えば、格付け機関が日本の国債格付けをさらに下げることが予想されます。
一説にはいきなり２ノッチの下げで「ジャンク債」一歩手前という噂も漏れ伝わってきますが、どれだけの評価になるかは別として国債の格付けが下がるととりもなおさず金融機関の格付けも下がることから各金融機関のドル調達コストも上昇することになり、為替には外郭的な影響が色濃く出ることになりそうです。
そもそも株式相場では内需株の引き合いが大きくなる以上に金融株が売り込まれることから、日経平均もTOPIXも下落が予想され、株に引きづられる形でドル円が下落することが予想されます。
参院選前に株価が上昇したとしても賞味期限はかなり短い
それでも本邦勢主体として日本株の上昇を期待する向きは多いようですが、これが現実のものとなっても賞味期限はかなり短いものになることが予想され、短期的な利益を模索する海外の「投機筋」が追随して購入したとしても高値で売りに反転する可能性は非常に強くなりそうです。
大型財政出動の話がいつ出てくるのかはわかりませんが、7月10日が参院選の投票日になりますから、この間に大きく上昇する局面があれば絶好の売り場が示現することになりそうです。
通常日経平均の場合5%以上の上昇でひと相場終了することになりますから、今の調子では1万8000円には到達しないところでピークになる可能性が出てきています。
そのタイミングにドル円が一体どのレベルをうろついているのかが大きな問題になりますが、現状では112円を突破するのはかなり難しくなってきている感じです。
英国のEU離脱のほうが市場でははるかに大きなテーマ
英国のEU離脱については別のコラムでも書いていますが、市場の反応はこちらのほうがはるかに大きく、マクロ的にみれば日本の参議院選挙対策で繰り出されてくる政策の話などはすべて吹っ飛んでしまうほど、市場からは関心をもたれていない状況です。
とくに23日までの英国内の世論調査結果は日々一喜一憂の連続が予想され、万一離脱の予想がほとんどのメディアに揃えば、開票前に噂で相場が動き出すことが考えられることからドル円もその動きに引っ張られて大きく円高に動く可能性を頭に入れておく必要があります。
参議院選対策でどこまでの政策対応が登場するのかわかりませんが、一旦相場が上がることがあれば、戻り売りで様子を見ておくことが6月相場の儲けのキーポイントになりそうです。
（この記事を書いた人：今市太郎）
