週明けの為替市場は東京タイムでドル円が大きく売られることになりました。
原因はご存知のとおりポンドがUKの国民投票を前にして、世論調査の結果から大きく売られたことに起因するもので、いよいよこの国民投票の内容を市場が織込み始めていることがわかります。
これまで戻りを試してきたポンドは対ドルでも対円でも下落が激しくなっており、相場は完全に23日の国民投票結果一色の状況になりつつあり、しかも結果が出る前に相場が大きく動いてしまいそうな様相をはらみつつあります。
メリハリなくずるずる下げたドル円
ドル円は106.800円レベルから東証の株式相場のスタートにあわせてずるずる下げる展開となり、結局「105.700円台」という年初来安値をつけに行かんばかりの動きを示現させることとなりました。
しかもほとんど戻すことのない、ずるずるとした下落の展開であり、NYタイムに入ってようやく106円台中盤まで戻しましたが、その後も何度も下値をうかがう動きに終始しました。
23日のUKの投票まではまだ時間がありますが、こうしたドル円のプライスアクションを見ていますと、投票日を待たずに、今週105円を下抜ける動きとなる可能性が極めて高くなってきていることを感じさせられます。
相場の状況織込みは実に遅い
これまで為替相場は株式市場よりも先行して相場の状況を織込む動きを見せてきたものですが、最近の相場状況はいよいよ問題が顕在化してこないとなかなか織込みが進まないのが特徴になりつつあり、UKの国民投票におけるEU離脱リスクも、ここへ来て急激に相場への織込みが始まっている印象があります。
また世論調査の結果も23日が近づくにつれて、離脱優位の展開が目立ちはじめており、そのたびにポンドが大きく売られ、ユーロも付き合って下落することからドル円も非常に大きな影響を受けるようになってきています。
今週中に105円台突破のカウントダウンがスタートか
どうもこの相場の動きでは来週を待つことなくドル円は105円を下抜けそうな勢いになってきています。
とくに大きく戻ることもなくじりじり値を下げる相場の動きは非常に気になるところで、このままあっさり105円台を抜けた場合、次のサポートラインは103円台中盤まで見当たらない状況です。
日経平均も非常に弱い状況で、すでに1万6000円割れは確実な状況となっていることから、株価に連動すればドル円は今週早い段階で下方向をさらに試すことになりそうです。
FOMCと日銀政策決定会合はすでに市場の視界から消えている
今週は「FOMC」と「日銀政策決定会合」の結果が16日の早朝からお昼にかけてありますが、もはやこのどちらも相場の視界からは消えているようで、すべての注目ポイントはUKの国民投票に集約されつつあるようです。
相場のリスクオフ感は想像以上で、「オーバーシュート」気味に動けばドル円は100円方向にかなり近いところまで下落する心配をしなくてはならなくなってきています。
全体として取引量が減少している中にあって、短期の「投機筋」とアルゴリズムだけが売り買いをしている模様であることから相場の上げ下げがかなりきつくなってきており、値跳びもぼちぼち散見されるようになってきています。
23日を終えるまではドル円はとにかく戻り売りのみが安心
すでにドル円は逆張りの買いで相場に入るのが、非常にリスキーな相場状況になってきています。
ここからはとにかく「戻り売り」に徹することにして、迂闊に買いから入らないように徹底すべき時間帯にさしかかってきています。足元の相場状況のようにじりじりと下げが続く場合には、さらに深いところまで下落していく可能性が高まります。
なんとも不気味な雰囲気ですが、何をきっかけにして下押しが加速するかは依然として、はっきりしないものの、ポンドとユーロの下落がきっかけになりそうな感じで、ここ数日はとくに注意が必要になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)